第8話 意地悪
あの人の実家から帰ってくると、あなたは小さい弟に、白い紙に包まれたお金を見せて、「いいでしょー」と言ってましたね。
なんと意地悪な事を。
たとえお金を使う事のない小さな子供でも、
いいものをもらったということはわかります。
だからあの子は泣きました。
「おねえちゃんばっかりずるいよー」と。
なんて可哀想な事を。
私は「お母さんがもっといいものをあげるからね〜」と息子を抱きしめ、意地悪なあなたを睨みました。
あなたはそんな私と息子をしらけたような目でしばらく見つめた後、し〜らないとでも言うようにくるりと背を向け私の目の届かないところに行きましたね。
家は狭いのに、まるで隣の部屋の机の下は自分の陣地だとでも考えているかのように、いつも何か気に入らない事があると、そこに座っていましたね。
背中を向けて。
まるで私達など必要ないとでもいうように。
子供のくせに、寂しいと泣きもせず、強い意志を持っているように、ひとりでどうどうと座っていました。
その姿を見ていると、なんだかとでも憎らしいのです。
我が子、我が娘のあなたが、母親の私を認めていない事や、私の事をいらないと思っているように感じて、あなたをひとつも可愛いと思えませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます