第7話 父親似

あなたの顔は、あの人によく似ていました。

どこか愛嬌があり、人懐こく、まわりが明るくなるような笑顔をもっていました。

義理の両親もあの人の弟妹もあなたの事はよく可愛がっていました。団地で暮らすようになっても、あなたは周りの大人によく懐き可愛がられました。


あなたは、あの人が畑や田んぼの手伝いで実家に行く時は必ず車に乗って一緒について行きました。

楽しそうに嬉しそうに父親と並んで出かけました。

家では子供の成長に良くないと与えられないような色のついたお菓子や飲み物をもらったり、義理の弟や妹にトランプを教えてもらい一緒に遊んだり、出かけたり。

そしてお小遣いをもらって帰ってきました。

わたしは、あの家の人達が嫌で家を出たのですから、あの人と一緒にあの家に行く事は滅多にありませんでした。家を出たからには畑や田んぼの手伝いからも開放されたいとおもいましたし、その事で何か悪く言われたとしても、自分の中では(幼い息子の世話がある)と言い訳をして可愛い息子と一緒にいれば幸せでした。

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