頑張りましょう


 昨日、さやかとの電話を終え、風呂から出ると越野から添付ファイル付きのメールが送られてきていた。

 そっと椅子に座り、何を今さら、といぶかしみつつ読んでいるうちに、笑みがこぼれてきた。


 これ、今日は寝られねえなあ、と思いつつ、風呂の前に付けていた右脚のミサンガを見つめた。ズボン越しにサポーターに手を触れ、俺は目を閉じて願った。


 ――明日、三分でいい。存分に走りきれますように。……俺のこれからのために。




 先輩、こんばんは。昨日はありがとうございました。


 あのような形で先輩や皆さんとお別れするのも、やっぱり嫌なので、最後に何かお役に立てないかなと思い、メールいたしました。


 添付ファイルは、僕が今までに書き留めてきたメモの要点です。


 原本は漫画に使うのでお渡しできませんが、このメモにチームに関して気付いたこと、色々まとめてあって、結構、(自分で言うのもなんですが)的を射ている自信があります。


 明日の試合、それから、試合が終わってからも、もちろんいつか新チームになってからもお役に立てるはずです。


 ぜひ、目を通してみてください。




 あっ、明日、いえきっと全国まで。試合応援に行きます。絶対に、このチームを最後まで見届けますから。




 そして、その、おこがましいですけど。


 これからお互い、環境が変わりますが、それぞれ頑張りましょう。


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