第29話 奪われた権利書とアイリス登場

アイヤがサラと帰った後。


喫茶店&レストランは静かになっていた。


ゆりこは椅子に座ってお店を見渡した。


ゆりこ「アイヤと共に建てた魔法のお店…。ちょっと古くなってきたかな。アイヤが帰ってきたら、もう一度建て直そうかな。」


ゆりこはお店の電気を消して戸締まりをして二階に上がり就寝した。


その日の夜。


何者かがお店に侵入して、壁にかけてあった、お店の権利書を奪い取って去って行った。


次の日の朝。


ゆりこは朝早く起きてお店の掃除をしていた。

壁にかけてある権利書の額縁の掃除をしようとした時、権利書がないのに気付いた。


ゆりこ「えっ!何でないの…。確かにここに飾ってたはず…。何で…。」


ゆりこは辺りを探したがなかなか見付からず、アルファとアルカが来た。


アルファ「おはようございます!ゆりこさん。」


アルカ「おはようございます。」


ゆりこ「どうしよう…。お店の権利書がない。」


ゆりこは泣き崩れてしまった。


アルファ「ゆりこさん…。」


アルカ「もう少し探しましょう!」


アルファもアルカも一緒に探し始めた。

だけど見付からず、お店をオープンした。


いつものように、ゆりこを目当ての男女のお客さんがたくさん入って来た。


女性は、ゆりこ特製プレートを頼むお客さんが多かった。

ダイエットメニューだからだ。


男性は、ゆりこ特製ガッツリプレートを頼むお客さんが多かった。

ご飯が特盛&おかずが特盛メニューだからだ。


そのお客さんの中で変わった服を着た女性が、ゆりこをチラチラ見て顔を赤くしていた。


お客さんが少なくなってきて、その人しか居なくなってきた。


その人は、ゆりこを手招きした。


女性「いいお店ね?」


ゆりこ「ありがとうございます。」


女性「だけどお店の権利書がないわね?」


ゆりこ「昨晩、盗まれてしまい…。」


女性「なるほど。誰に盗まれたか目星はあるの?」


ゆりこ「ありません。」


女性「いいわ。私が探してあげる。」


ゆりこ「いいのですか?」


女性「条件はあるけどね?」


ゆりこ「条件ですか?」


女性「無事に権利書が取り戻せたら、私と…。1日だけ付き合ってくれない?」


ゆりこ「そんな事で良ければ。」


女性「ありがとう。じゃあさっそく探しに行くわね。」


お代を置いて帰っていった。


アルファ「いいのですか?」


ゆりこ「あてがないからね…。」


アルカ「俺達もまた探してみますね?」


ゆりこ「ありがとう。」


3人はお昼ご飯を食べてまた午後から、お客さんがたくさん来たので対応をした。


やっと夕方になり、お店をしめようとした時。


朝に来ていた女性と腕をロープで結ばれていた女性が入って来た。


女性「連れて来たわ。」


女性は権利書を持っていた。


ゆりこ「ありがとうございます!感謝します。でも何で権利書を盗んだの?」


黙って何も言わなかった。


女性「この子の名前は、アシュ。このお店にアシュのお姉さんが通っていて、なかなか自分と遊んでくれないから、このお店がなくなれば自分と遊んでくれると思ったらしいわ。」


ゆりこ「そうだったんですか。」


アシュは口を開いた。


アシュ「私は悪い事はしてないし、権利書は返さない!」


ゆりこ「でもその権利書は大切な物なの。」


アシュ「嫌だ!」


すると後ろからアシュの頭を軽く叩いた女性が現れた。


?「申し訳ございませんでした。」

深々と頭を下げた。


アシュ「お姉さん。」


姉「謝りなさい!あなたは悪い事をしたのよ!」


アシュ「だってだって…。」


アシュは大泣きした。


アシュが持っていた権利書を姉が取り、ゆりこに渡した。


姉「妹が迷惑をかけてすみませんでした。」


姉はアシュと帰ろうとした時。


ゆりこ「今度は妹さんと、ご来店下さい!明日から1週間、花見フェアをやるので。」


姉「分かりました。」


頭を下げて帰っていった。


女性「良かったですわ。」


ゆりこ「どうやって見付けたのですか?」


女性「内緒かな。1日デート楽しみにしていますわ。」


ゆりこ「お店が休みの日にいらして下さい。」


女性「あの、良ければ男装をしてくれませんか?」


ゆりこ「男装ですか?分かりました。」


女性「ありがとうございます!」


女性も帰っていった。


アルファとアルカは心配そうに見ていた。


ゆりこ「どうしたの?」


アルファ「俺達も隠れて行っていいですか?」


ゆりこ「何で?」


アルカ「護衛をしたいんです。」


ゆりこ「何も怒らないとは思うけどいいわよ。」


アルファ「ありがとうございます。」


アルファはアルカと家へ帰っていった。


アルファの家で2人は話をしていた。


アルカ「さっきの女性…。アイリスですよね?」


アルファ「だな。指名手配されてたはずなのに何で…。まさか…。ゆりこさんを狙ってるのか…。」


アルカ「調べないといけませんね。城に居た時はメイドや宝石を奪っていき返ってこなかったし…。」


アルファ「確信がまだ持てないが護衛する必要はありそうだな。」


さっきの女性は悪名高きドロボーアイリスだった。


ゆりこはその事を知らずにいた。


返ってきた権利書を額縁に入れた。


それと同時にゆりこは倒れた。


倒れた音はアルファの家まで聞こえて2人は駆け付けたがそこには、黒いマントを着たアイリスがゆりこを抱えていた。


アルファ「やはりアイリスか!」


アルカ「ゆりこさんを離せ!」


アイリス「外道は黙れ!こんな美しい女性がまだ居たとはな…。この娘は私の者だ!さらば。」


白い玉を叩きつけて煙が出てきた。


その隙にアイリスは逃げて行った。


アルファとアルカは睡眠煙を吸ってしまい倒れてしまった。


街の人達は、ゆりこのお店から煙が出てるのに気付いてリディックと駆け付けたが、そこには、倒れたアルファとアルカしか居なかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る