第16話 極ウマハヤシライス

次の日いつものような毎日を送っていた。


喫茶店はお嬢様のおかげで他国から様々なお客さんが来てくれて、大繁盛していた。

忙しくて毎日楽しいと、ゆりこは思っていた。


休みの日になり、アルファとアイヤはゆりこと共にレックス街へと出掛けた。


今日から予選が始まるからだ。


ゆりこはドキドキしていた。

アルファは相変わらず、ゆりこにドキドキしていた。

アイヤはその2人の様子を見てニコニコしていた。


馬車でレックス街へと向かいやっと着いた。


門でお金を払い入った。


サラがピンクのフリフリワンピースを着て出迎えてくれた。


サラ「ゆりっぺ!久しぶりね!なかなか忙しくて、ユアリア街に行けなくてごめんね。」


ゆりこ「別にいいよ?」


サラ「ん?男が2人?」


ゆりこ「アルファは知ってるよね?もう1人は、アイヤっていうの。仲良くしてね?」


アイヤ「アイヤです。よろしくお願いします。」


サラ「よ…よろしく。まさかあんた、ゆりっぺの事…。」


アイヤ「ん?好きですよ?」


サラ「なにー!私だって好きなんだからね!あんたには負けないから!」


ゆりこ「ちょっと止めなさいよ!」


サラ「だって…。」


アイヤ「私も負けませんよ?アルファさんもでしょ?」


アルファ「えっ!なんの事だか…。」


サラ「やっぱりあんたもか!」


ゆりこ「サラ!いい加減にして!怒るよ?」


サラ「ごめんなさい。」


アイヤ「私こそすみません。」


ゆりこ「それでいい。予選の紙が貼り出されたから見に行こう?」


サラ「そうね。」


4人は広場へと来た。


予選1回戦は、ゆりこが出る事になった。


ゆりこ「1回戦目から私か。サラは?」


サラ「私は3回戦目よ。お互い頑張りましょう?」


ゆりこ「そうね。ねぇサラ、レイラって誰か分かる?私の1回戦目の相手なの。」


サラ「レイラも出てるんだ…。レイラは…。」


すると金髪の女の子がサラに向かって来てハグをした。


?「サラさん!会いたかったよ!」


サラ「離しなさいレイラ。」


レイラはすぐに言う事を聞いて離した。


レイラ「照れ屋さんなんだから。ん?この美人な女性は誰?」


サラ「私の親友のゆりこよ。ゆりっぺ、この女の子がレイラよ。私の従姉妹でレックス街でお店開いてるの。」


ゆりこ「ゆりこです。よろしくお願いします。」


レイラ「私はレイラっていいます。あの~つかぬことお伺いしますが、ゆりこさんは恋人いらっしゃいますか?」


ゆりこ「いませんよ?」


レイラ「なら私立候補してもいいですか?」


ゆりこ「いいわよ?ストレートに言う人は初めてだしなんか嬉しい。」


サラとアイヤとアルファが間に入ってきた。


サラ「ちょっと待ちなさいよ!私だって好きなんだからね!」


アイヤ「私もです。」


アルファ「僕もです。」


ゆりこ「みんなありがとう。」


みんなにニコッと笑顔を見せた。


4人共、顔を真っ赤になった。


ゆりこ「ゆっくり考えておくから、それまでは友達として仲良くしてね?」


4人は頷いた。


鐘の音が鳴った。

予選1回戦開始の合図だった。


ゆりことレイラは会場の特設キッチンステージへ行った。


司会者「皆さんこんにちは。料理大会予選ステージへようこそ!今日は予選1回戦~4回戦まで行います!最初の料理のテーマは、ご飯に合う料理です!出場者をご紹介します!」


ゆりことレイラが出てきた。


司会者「左から、ユアリア街からやってきた、ゆりこさん!」


観客は拍手をした。


司会者「右は、レックス街からきたレイラさん!」


観客は盛大にまた拍手をした。


司会者「制限時間は一時間です!どんな料理でも構いません。それでは料理開始!」


再び鐘が鳴って料理大会予選が開始した。


レイラは見るからにカレーを作る様子だった。

テキパキとして無駄のない動きだった。


ゆりこはハヤシライスを作ろうとしていた。



~ハヤシライス~

材料

⚪豚肉 適量

⚪玉ねぎ 3個

⚪人参 2本

⚪バター 大1

⚪小麦粉 適量


★トマト缶

★コンソメ 適量

★ケチャップ 適量

★ソース 適量

★水 適量

★砂糖 適量



~作り方~

①豚肉、玉ねぎ、人参を一口サイズに切ってバターで炒める。


②しんなりしてきたら小麦粉を入れて炒める。


③★の材料を全部入れて煮込んだら完成。


会場はカレーとハヤシライスのいい匂いに包まれていた。


次第にお客さんが増えてきた。


あっという間に一時間が過ぎて試食の時間になった。


審査員3人が来て座った。


司会者「司会者は左から美食家のハイヌさん、真ん中の方は、三星レストランのライトさん、右の方は、四つ星レストランのアイさんです。」


3人の前にゆりことレイラの料理が運ばれた。


まずはレイラのカレーの試食から。

みんな一口スプーンですくって食べた。


ハイヌ「うむ。これは美味である。しかし少し野菜が硬いな。減点じゃ。」


ライト「カレーの味は悪くはないが、ハイヌさんの言う通り硬いですね。」


アイ「いい味してるのに勿体ないです。」


そしてみんな水を一口飲んで、ゆりこのハヤシライスをスプーンですくって食べた。


ハイヌ「これは…!濃厚だが野菜が甘く柔らかい!」


ライト「コクがありますね。それに甘い!砂糖が少し入っていますが、その甘さではなく野菜の甘さ…。こんなに引き出せるとは…。」


アイ「味も良し、野菜の下ごしらえも良し。完璧ね。」


そして評価の時間になった。


司会者「それではまずレイラさんの料理の点数は…。」


ハイヌ 6点

ライト 5点

アイ 3点


合計は… 14点。


司会者「続いては、ゆりこさんの料理の点数は…。」


ハイヌ 10点

ライト 10点

アイ 10点


合計は… 30点。


司会者「レイラさん、14点。ゆりこさん、30点で、勝者ゆりこさん!」


観客は拍手をした。


レイラは泣いて会場から飛び出した。


司会者は予選突破として銀バッチを渡した。


ゆりこ「ありがとうございます。」


司会者「予選1回戦はこれにて終了。予選2回戦はお昼からになります。それではまた。」


予選1回戦が終わった。


ゆりこはレイラを追いかけた。


会場のすぐ後ろでうずくまっていた。


ゆりこ「レイラさん。」


レイラ「ゆりこさん…。私、料理失敗しちゃった。こんなんじゃ私、お店出す資格ないよね。それに下手な料理人が友達にいると、ゆりこさんに迷惑が…。」


ゆりこ「失敗なんてよくある事でしょ!それに料理が下手ならたくさん練習すればいい事でしょ?嫌いになったりはしないわ。」


レイラ「ゆりこさん…。ありがとう。」


レイラはゆりこにハグをした。


サラ、アイヤ、アルファがその光景を見て走ってきて離した。


サラ「油断も隙もないんだから!」


アイヤ「抜け駆けは許さないよ?」


アルファ「2人きりはダメだ。」


ゆりこ「落ち込んでたレイラさんを慰めただけよ?勘違いよ?」


レイラ「ふふふ。私が一歩前進したわよ!」


ゆりこ「えっ!」


レイラ「落ち込んでいたのは本当です。だけど、ゆりこの言葉で元気が出ました。ありがとうございます。」


ゆりこ「良かったわ。」


サラ「良くない!クー!」


ゆりこ「サラ、予選の準備しなくていいの?」


サラ「そうだった!また後でね。」


予選1回戦はゆりこの勝利として終わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る