懐古
あのまんま、ずっとずっと遠くまで通り過ぎていくはずだった。
アイスクリームは溶けないし、雲は流れないし、葉っぱが枯れて落ちることもなかった。
月の裏側も、この世の果ても、海も空もなにもかもが混ざってしまえばよかった。
なにもかもが混ざって、一つになっていたら。そうなってたら、わたしは遠くまで行けたのに。
生ゴミもアルバムも思い出もぜんぶ火曜の燃えるゴミの日に捨ててしまった。
それでも、何も止まらない。
始まってしまう。終わりがない。
アイスクリームは溶けてしまったし、雲は季節と一緒に何度も流れたし、葉っぱだってたくさんの色に何度も何度も変わっていった。
この世の果てはどこまで続いているし、月の裏側も表だかなんだかわからないまま。
どうしても、なにをやってもわたしは遠くに行けなかった。
それでも、きっと。
いつか、アイスクリームが溶けなくなるその日まで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます