第3話 女テニの噂

週が明けた月曜日もその次の日も、あゆみんとかえちゃんは私たちと口をきかなかった。


やがて、一緒のコートでやっていた練習も別々のコートでやるようになった。


「2人って、私たちのことどう思ってるんだろね」

せいらが言った。

「さあ〜」

私達はサーブの練習をしながら話をした。

ゆさはと言うと、完璧に情報伝達者になっていた。

「ゆさちゃん、2人になんで怒ってるのって言ってきて」

あゆみちゃんが言った。


数分後、ゆさが戻ってきた。

「なんて言ってた?」

ももちゃんが聞くと、ゆさは言った。

「そんなこともわかってないの?自覚なさすぎ。だって」

「わかってないわけじゃないけどさ、あんなに怒る事なくない?」

「ホント、ホント!前も言ったけど、意味わかんないよね」

「放っておこうよ」

せいらが言った。

「でもそんな長くは放っておけないよ」

私は言った。

「どうして?」

みんなが聞いた。

「実はさ、最近クラスでさ、噂になってるんだよね。女テニの事」

私は、クラスの子たち数名に、聞かれた事を話した。

「情報早くない?まだ土日挟んで5日だよ!確かにこの学年は情報の回りが早いけどさ」

せいらが言った。

「このまま進展がないと、先生達にバレるよ」

私は言った。

「それはやばいでしょ!」

「だったらどうする?」

私たちは黙ってしまった。

その後も、どうするか練習しながら考えていたが、解決策は思いつかなかった。


次の日、私は担任である吉田先生に呼び出された。

吉田先生は女子ソフトテニス部、つまり私たちの部活の顧問だ。

「佐野〜。部活内で何かあったか〜」

先生はいつもののらりくらりな話し方で聞いてきた。

「えっ……まあ、ちょっとごちゃごちゃと……」

私は曖昧に濁して答えた。

「まあ、俺はあんまり詮索しないけどよ〜、ちゃんと仲直りせ〜よ〜。お前らは仲いいんだからな〜」

先生は私にそう言った。


放課後の部活。

私は、先生に呼び出された事をみんなに話した。

「先生は、あんまり詮索しないって言ってたけど、あまり長く続くとヤバイかも」

私が言うと、ももちゃんが言った。

「もものクラスも噂が広がってたよ。内容までは、流れてないみたいだけど」

「とりあえず、かえちゃん達と話そうよ」

「そうだね」





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