第2話 1ヶ月前の出来事

部活の帰り。

私たちはいつも2つの方向に分かれて帰っている。

ゆさ、かえちゃんのチームとあゆみちゃん、あゆみん、せいら、ももちゃん、そして私のチーム。

金曜日は全員夜練があるため、同じ方向に帰る。


今日は金曜日だ。

普通なら7人全員一緒に同じ方向に帰る。

でも今日は、あゆみんとかえちゃんが先に行ってしまった。

私達5人は2人の後を追った。

歩道橋の上に私達が来た時、2人はもう歩道橋から降りていた。

「なんで逃げるの!」

私は歩道橋の上から言った。

返事は帰ってこない。

「アホー!」

せいらが言った。

歩道橋にいた私達以外の生徒が私達の方を見た。

あゆみんとかえちゃんは振り向かず、スタスタと歩いて行ってしまった。

私たちは急いで追いかけた。


夜練の時もあゆみんとかえちゃんは口をきいてくれなかった。

私たち5人は休憩時間に話し合った。

「かえちゃんたちが怒ってる理由ってやっぱり後輩ちゃんの体力づくりのことだよね」

あゆみちゃんが言った。

「他にありえなくない?」

「でも、あんなに怒る必要なくない?」

「たしかに!それは思った」

みんなも口々に言った。

「どっちが悪いんだと思う?」

私は聞いた。

「そりゃあっちでしょ!」

「私達が文句を言っただけで怒ってるんだから」

「やだとは言ったけどやりたくないとは言ってないんだし」

ももちゃんは言った。


そしてこの日は、特に何も進展がなかった。


家に帰ると母が聞いてきた。

「学校で何かあった?夜練の時、やけにあゆみんとかえちゃんと話してなかった気がするんだけど」

隣のコートで見られていたらしい。

「あゆみんとかえちゃんと喧嘩しちゃって……」

私は今日起きた事を母に話した。

「なんかややこしいね。で、ゆさはどっちの方なの?」

「中間の情報伝達者みたいなとこ」


ゆさは夜練の間、あっちに行ったりこっちに来たりしながら情報を集めていた。

今のところどちらにも属していないのはゆさだけだ。


「まあ、部活内の事だから、自分たちで解決してね。早めに仲直りしないと、

行けなくなるよ」


そう、この事件が起きたのは5月。

去年、ディズニーに行く約束をした、1ヶ月前だった。


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