中学2年

第1話 些細なことで……

冬も去り、4月。

私たちは2年生になった。

そして、新1年生が仮入部にやってきた。


仮入部期間だった1週間は、人数は少ないものの、ただ単に来てくれることが嬉しかった。


そして、あっという間に仮入部期間が終わり、1年生本入部初日。

新入部員は10人。

私達の学年より3人多かった。

「偶数でよかった〜」

私達はホッとした。


ソフトテニスは基本、ダブルスのため奇数だと誰かが大会に出られなくなってしまう。

現に、私達の学年は奇数で、1人必ず出れていない。


私達は、先生に今まで自分たちがやっていたことを教えろと言われていた。

つまり、ボールの空気の入れ方から片付けの仕方まで。

私たちは、3つのチームに分けて順番に教える事にした。

全員で教えると、私達の練習ができないからだ。


それから1週間、私達は順番に1年生に教えた。

ある程度やる事を覚えてきた頃、先生が言った。

「1年生に体力づくりをさせるから、どのようなことをするかとか、監視役などは2年生が仕切るように」と。


私達は先輩が来るまでの間、どうするかを考えていた。

「監視役って私達も体力づくり一緒やらなきゃいけないの?」

ももちゃんが言った。

「やだな〜」

せいらやあゆみちゃんも言った。

「じゃあ、かえちゃんとうちでやるから、みんなは練習してきていいよ」

あゆみんが少し怒ったように言った。

「いいよ。みんなでやるよ」

せいらと私が言った。

「だって、やりたくないんでしょ?」

かえちゃんが言った。

「そう言う事じゃなくて……」

ももちゃんが言った。

「でも結局、こんな人数いらないでしょ!」

「でも先生は全員でやるようにって言ってたじゃん」

先生は、全員でやるようにと私達全員に言ったのだ。

「だから、みんなでやろうよ!」

私は言った。

でも、

「勝手にすれば。そっちが最初やりたくないって言ったから、私たちがやるって言ったのに」

かえちゃんとあゆみんはそう言って、練習に行ってしまった。



こんな小さな事から、この出来事は始まった。

普通ならすぐに元に戻りそうなこのトラブルから……。

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