第4話 ゆさの過去

次の日、学校では特に変わったことはなく、私たち7人はそのままテニスの夜練に行った。


夜練は毎週金曜日、部活が終わってから21時まで。

今日は部活が17時半ごろに終わったため、いつも通り歩いてコートに向かった。

ゆさは先に走って行ってしまった。


私たちがコートに着いて、準備をしていると、ゆさママが私たちのところに来た。

「ねえ、ゆさを仲間外れにしたってどういうこと?」

私たちはゆさに言ったことと同じことを話した。

でも、ゆさママは、

「ゆさと全然言ってることが違うんだけど。ゆさは、今回だけじゃなくて毎日日常生活でも無視されたって言ってたけど」

私たちは、それを否定した。

「違います。私たちは日常生活で無視なんてしてません。それに今回のことも偶然だって言ったはずなんですけど」

「まあ、それならいいんだけど、みゆママも言ってたし」

ゆさママはそう言って、歩いていったが、納得していないようだった。


「ねえ、なんでゆささんのお母さんがこのこと知ってるの?」

あゆみんが私に聞いてきた。

「確かに!もしかしてゆささんが話したのかな?」

せいらも言う。

私はみんなに聞いた。

「ゆさがこの中学に来た理由、知ってる?」

「え、家が近いからじゃないの?」

ももちゃんが言った。

「それもそうなんだけど、それだけでわざわざ学区外から来ると思う?」

「じゃあ、なんで?」

私は母に聞いたことを話した。

「ゆさね、小学校の頃にいじめられて学校に親が来るほどにまでなったことがあるんだって。だから、その状況から抜け出したかったらしいよ」

「それ、本当?」

「うん、母から聞いた話だけどね」


「だから、ゆさちゃんママってゆさちゃんに、過保護なんだ」

あゆみちゃんが納得するように言った。

「ゆさちゃんもすぐにお母さんに頼っちゃうんだね」

みんなが“うんうん”と頷いた。

私も含めて。


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