第3話 勉強会の誤解
ある日、私たちは期末テストの為に勉強会をすることにした。
私たちというのは、せいら、あゆみちゃん、かえちゃん、そして私の計4人のことだ。
前回の中間テストであゆみちゃんは学年5位を取っているから、教えてもらおうということになった。
勉強会は土曜日に行われ、問題なく終わった。
いや、終わるはずだった。
週明けの月曜日、私たちが朝練の準備をしていると、ゆさが、
「どうしてうちだけ勉強会に誘ってくれなかったの?」
と、聞いてきた。
私は言った。
「ゆさだけじゃないよ」
「でもうち以外のみんな勉強会をしてたって言ってたよ」
どうやら、私たち4人だけでなくももちゃんとあゆみんのペアも勉強会をやっていたらしい。しかも同じ日に。
「嘘つき」
ゆさはそう言って、朝練を途中で抜けていった。
放課後の練習で、私たちは同じクラスのあゆみちゃんにどんな感じか聞いた。
「クラスでは普通だったよ。あゆみとは口をきいてくれなかったけど」
練習でも私たちと口をきいてくれなかった。
私たちは帰り道、この後どうするかを話し合った。
結局、明日また謝ってみようということになり、家に帰った。
自宅——————
私が勉強していると、母が私に聞いてきた。
「みゆ、ゆさと何かあった?」
私は、
「そんなすごいことは何もないけど」
と答えた。
「ゆさママからゆさが仲間外れにされたってメールで来たんだけど」
「えッ!」
ゆさママと私の母は、所属しているテニスクラブが同じでペアだから、仲良しなのだ。その影響からか私とゆさはジュニア時代、ペアだったことがある。
「何があったの?」
私は正直に話すことにした。
「一昨日、私たち勉強会したじゃん」
「うん、えっとー、せいらとあゆみちゃんとかえちゃんとだっけ?」
私は頷いた。
「で、今日の朝練でももちゃんとあゆみんも勉強会をしていたことが判明して、ゆさが仲間外れみたいな感じに思っちゃったんだよね」
「その誤解は解いたの?」
「解いたよその場ですぐに。でも信じていないみたいで、クラスでも放課後の部活でも話してくれなくて」
母は少し考えてから言った。
「じゃあ、しょうがないよね。一応ゆさママにはメールで話しておくよ」
「うん」
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