第2話 新撰組隊士救出作戦そして…

転移リングはその場所の異世界名を思うことで飛ぶことが出来る優れ物だ。さらに飛ぼうとしてる世界の人目のつかない場所に自動的に飛ばされるらしい。僕らは異世界の人間にけして、異世界から来たとバレてはならない。

だが今回の話は別らしい。なぜならグルデール島はそもそも他の貴族が住んでいたらしく。カダルは転移リングを使い、グルデール島に行き、その貴族や民、その世界に居る住人をすべて殺してその世界に住んでいるみたいだ。

富豪だけが許される特許。異世界への移住だった。つまり今グルデールにいる人達は皆、すべて僕らの世界の人と言う訳だ。

リングを初めて使った僕は初めての景色を見る事になる。ギルドに居たのに、辺りが真っ白になり無になる。隣に居た竜真さんも消えたった一人の世界に居るみたいだ。いや無とは、その言葉通り何もない。自分の体さえもなかった。時間にしてほんの数秒だったが、確かに無の空間に居た。その後、人や建物が構築されだし、気が付くと僕は廃墟に居た。

「どうだった?初めての異世界転移は」

その聞き覚えのある声に僕は振り返り

「なんか気持ち悪かったです」と言った。すると竜真さんは納得とした顔で

「最初は皆そう言うんだよ。まぁ慣れるまでだな」

「はい。そういえば他の人達や日咲さん達はどうしたんですか?」

そう、僕らは夜の廃墟の中の一つの部屋に竜真さんと二人で居た。先に飛んだ日咲さん達はおそらくカダルの所に向かったんだろうが、僕らと一緒に飛んだ他の人達が見当たらない。

「まぁ着地地点は人目のつかないランダムな場所だからこの辺にいるんじゃねーか?」

「そうですね」

僕らは階段を下りることにした。どうやらここは4階らしい、階段を下りて行くと

「おーい!」と近くから大声が聞こえた。

「竜真さん!誰か居るみたいですよ。僕達も行きましょう」

僕と竜真さんは階段を下り外に出た。すると声を出した人の周りにすでに人が集まっていた。

「もう全員集合って感じですね」

僕らは全員揃ったか確認し、日咲さん達を追いかけて城へ向かって走り出した。

この世界はグルデール島って名前の通り、島くらいの大きさしかない。

だからここからでも城が見える。僕らはそれを目指して走る。数十分走ると

「ちょっと止まれ」と先頭にいる人が言った。

「なんだ…これ…」

月明かりに照らされ、僕らの目に入ってきたのは大量の死体だった。その死体はまるで城までの足跡のように一直線に城まで続いていた。

「竜真さん。これって…」

「大方、日咲達だろうな。城に向かう途中に襲われたんだろ?まったくあいつらも派手にやりやがるぜ」

僕が死体慣れしていないと言うのもあるけど惨過ぎる。僕は頭から足まで電気が流れた。恐怖。僕はその言葉に捕まってしまった。これが新撰組幹部の力。これが新撰組。なんて恐ろしい化け物集団なんだ。今さっきまで話していたと思うと尚更恐怖に取り付かれた。

僕が青ざめていると、竜真さんが僕の肩に手を乗せ

「安心しろ。新撰組は仲間だ。それにお前も俺も死ぬ事ねーからさ。互いの背中を互いが守る。俺はさ新撰組にもお前にも背中を預けられる。だからお前も安心して背中預けやがれ」

僕はその言葉を聞き、落ち着きを取り戻した。

「すみません竜真さん。取り乱してしまって」

「いいって事よ!気にすんな」

僕らは死体の道を進み続けた。新撰組ともそんなに離れていないだろうから、いずれ追い付くのか?そんな事を思っていると城のすぐ近くまで来てしまっていた。

「ここは小屋や家が多く見通しが悪いから慎重に進むぞ」

僕らは家の視角などを警戒しながら歩いて行く。

「なんか僕達以外に人が居ないと、なんか不気味ですね」

「そそそそそ…そうだよな~不気味だよな~」

竜真さんは暗闇が嫌いらしい。

「ちょっと竜真さん。それでも侍ですか?なんで死体には一切ビビらなかったのに暗いくらいでビビってるんですか?子供じゃないんだし、しっかりしてくださいよ」

竜真さんは体をブルブルさせながら

「いや~、だってあれだろ。その…幽霊とか出るかもしれないじゃん。あいつら物理攻撃一切通用しないしさ。でもでもけして、ビビってる訳じゃねーぞ。幽霊出たら危険だなって思ってさ。ほら、余裕ぶっこいてると幽霊にイタズラとかされるじゃん。だからあえてビビってるフリをよ」

「はいはい分かりましたから、行きますよ」

そう言った時、人影がいきなり現れ。そしてこちらに向かってゆっくり近づいてきた。

「ほらー!!!だから言ったじゃねーかよ!余裕ぶっこくなって!」

いや、そんな非科学的な事がありえるのか?そういえばこの場所は昔人がたくさん住んでたんだっけ?それをカダル達に殺されて占拠されたんだっけ?いや完全に心霊スポットじゃねーか。

「いや、まじで!まじで!こっちに来るなー!」

「あらやっぱり貴方達だったのね」ん?その声は

「な…なんだ。日咲さんだったんですか?」

「だったんですか?って一体なんだと思ったのよ?」

「いや…それはこっちの話で」

やっと日咲さん達に追い付いたみたいだ。これには竜真さんも安心したみたいで。

「いやー…日咲かよ~まったく驚かせやがって」

「さっきから貴方達なんなのよ」

「いやーすいません。それは気にしないで下さい」

「まぁいいわ」

同じように家の影から真二さん、一星さん、月菜さんと隊士の一人も出てきた。

「何?私のファンの子達が着いてきちゃった?」と月菜が言う。

「誰がてめーなんかのファンになるか!それにてめーなんかにファンがいるか!」

「はー!?何ですってこのバカ侍が!」

「バカはてめーだろうが!」

相変わらず月菜さんと竜真さんは仲が悪いなー。

「日咲さん、あの二人昔からあんな感じなんですか?」

「そうなのよ。昔から目が合えば喧嘩ばかりしていたわ。喧嘩するほど仲がいいってやつなのかしら?私には猿が喧嘩してるようにしか見えないんだけどね」

「日咲さん、せめて人として見てあげてください」

「それにしてもこんな所までくるなんて、相変わらず旦那は無茶するっすね」

「あー?それはお前らが言えた事かよ」

真二さんは笑いながら「それもそうっすね」と言った。

「で、てめーらなんでこんな所で足止めしてんだ?」

竜真さんの言う通り、城に続く橋はもうすぐそこなのに。なんでこんな所で足止めをしていたのだろうか?

「俺達もここを進みたいんすけど、実はここから橋まで50メートルの間に地雷があちこちにあるらしくて進めないんすよ」

「地雷?」

「そうっす。その地雷の所さえ抜けられたら、後はあの長い橋だけなんす」

地雷か~。僕はここであることをひらめいた。

「あの…地雷を避けるんじゃなくて、地雷を片っ端から爆発させるのはどうですか?」

「爆発?一体どうやってっすか?」

「石とか投げて、爆発させるのはどうですか?」

「石ねー。たぶん石くらいじゃ反応しないんじゃないかしら」

「そ、そうですよね」

方法が見つからない中、一星さんが

「なら人を転がすのはどうですか?」

「人を転がす?!」僕らの声が揃ってしまった。

「はい。ここにある鎖で人をぐるぐる巻きにして、ボウリングみたいに転がすのはどうですか?」

「それだわ!それなら確かに突破出来るわ!」

「ちょ、ちょっと待ってください。そんな事したらその人はヤバイんじゃないんですか?」

月菜がアツキに、はぁ?って表情を向けた。

「あんたさバカなんじゃないの?この状況、一人犠牲になってみんながここを通れるならいいじゃない!」

「バカはお前だろ!あんたこれでも新撰組副長でしょ!仲間を見捨ててどうするんですか!」

「うっさいわね~!もうこれしか方法ないんだからしょうがないじゃない!」

まじで。まじでこの方法で行くの?人助けに行くのに人犠牲にしてて矛盾なんだけど。ここで、竜真はあることを言う。

「まぁ問題は誰が生け贄になるか…だけどな」

その言葉を聞いた瞬間全員の顔色が変わった。全員自分が助かることしか考えていない。誰も喋らない中、口を動かしたのはアツキ。

「まぁこうゆう事は運命に任せてじゃんけんなんてどうでしょうか?」

じゃんけん。それはグーチョキパーで行われる勝負。この答えは神しか知らない。完全なる運の勝負である。

「あー、そういえば昔流行ったろ?なんかチョキ出した奴は心理的に変態だってやつ。アツキお前チョキ出そうとしてたろ」

「いやまさか、そんな話迷信ですよ。だいたいじゃんけんでそんなの分かりはしないですって」

この二人の何気ない会話。もちろんその裏に高密に設計された作戦があった。

この状況でチョキを出した奴は変態などという、汚名をつけられたとしても勝たなくてはならない。なぜなら負ければ地雷の爆発を受け続ける羽目になるからだ。普通の人間ならそんな言葉には耳を貸さない。

が!この人達は違った。

全員、超が付くくらいプライドが高いのだ。なので、変態などと言う汚名を付けられるなら死んだ方がマシだと、ここに居る人間は思っていた。つまりこの状況でチョキは出せない。残る攻撃はグーとパーだけになる。当然パーの方が強いから、全員パーを出す。がしかし!ここで変態と言う汚名を付けられても何も思わないチョキの器に相応しい人間が居るとしたら、その人こそがこの場を勝つことが出来るだろう、そう!これは恋愛。

「ちょっと待てーー!なんだよこのナレーション!完全にかぐ◯◯だろ、どんだけぐだらねー事を頭脳戦にしてんだコラ!僕らの何処に恋愛要素があるんですか!」

アツキを見て日咲が。「アツキったら、お可愛い事」

「やめろーー!」

「おい、アツキ」竜真がアツキを呼ぶ。

「なんですか?竜真さん。今竜真さんに構ってる暇は」

「お可愛い奴め」

「やめろっつうのが聞こえねーのか!てめーらそれ言わねーと会話できねーのかコラ!」

「ねね、アツキ」一星がアツキの裾を引っ張る。

「どうしたの?一星」

「ドーんだよっ!!」

「か、可愛すぎる!」

「いやアツキ、ツッコミ違うだろそれ」

僕としたことが周りに乗せられてしまった。

「さて、気を取り直してじゃんけんですよね。では竜真さん。新撰組の皆さん。始めます。全員で声を出してください!いきますよ!」

全員で声を合わせて。

「最初はパー!」

「え?」

この時、え?と言ったのはたった一人月菜だけだった。つまり月菜以外全員パーを出していた。

「月菜、貴方の葬式。密葬と国葬どっちがいいかしら?」

「密葬の方がいいんじゃねーか?こうゆうのは家族だけでひっそうりやる方が嬉しいだろうしな」

「それもそうっすね」

葬儀について話し合いをする僕達。

「ねぇ~、ちょっと待ってよ。こんなのあり?なんで最初はパーなのよ。普通はグーじゃないの?」

竜真が、え?と言う顔をしながら。

「俺の学校では最初はパーだったぞ?なぁ日咲」

「そうね。私の学校もそうだったわ。他の学校もそうじゃないかしら?」

「ちょっと待ってー!貴方達学校なんて通ってないでしょ!え?ほんとにあたしがやるの?」戸惑う月菜さん一星さんが

「うるさいですねー」と言い、鎖でぐるぐる巻きにしてしまった。

「これで完了です」

「ちょっ!これ解きなさいよ、あたし、プリンセスなんですけど!解いて解いてよー!なんでもしますから。この前勝手に日咲のプリン食べたことも謝るし。一星のお菓子、一口食べたら止まらなくて全部食べたことも謝るから~」

日咲さんと一星さん、完全にキレてるじゃないです。

「でもでも、あたし一人じゃ効率悪いんじゃない?3人くらい居ないと、時間もないしさ」

「それもそうね」日咲さんが納得って顔をした。

「でも今からさらに二人決めるってめんどくないっすか?」

「それなら大丈夫よ、残りの二人ならもう決まってるから」

そう言って日咲はアツキと竜真を鎖でぐるぐる巻きにした

「ちょっと…あれ?なんで俺らなの?」

「一星!真二!この3人運ぶの手伝って」

鎖に巻かれた3人は地雷の目の前まで運ばれた

「さて、ここから転がすわよ」転がす準備をする一星と真二と日咲。

「ちょっと、待ってーー!なんで僕達もなんですか!僕と竜真さん何かしました?」

「そうだ!日咲。てめー俺らが主役だからってムカついてんだろ!ざけんな解け!」

「お母さん。お父さん。あたし、今からそっちに行くよ」

諦めてるー!月菜さん早くも諦めてる!なんで僕らがこんな目に。ごねている僕らを日咲さんが見て

「何もしてないですって?その刀を持っときながら、良く言うじゃない」その言葉に僕と竜真さんは

「バ、バ、バレてた~!!!!」

その言葉を最後に僕達はボウリングの様に転がされ、地雷を片っ端から起動させた。

「いーーーーやーーーー」

その爆発の中で僕達の声が響き渡った。

「さて、地雷も無くなったし進もう」

「そうっすね。旦那達には悪いけど、しょうがないっすね」

「悪いことするからですよ」

日咲達は橋の目の前に着いた。そこで一人のギルドに居た人が

「局長さんよ?なんでこの橋、こんなに長いんだ?」

そうこの橋は100メートル近くある長い橋で、下には川が流れている。

「さぁ?でもたぶん防衛のためだと思うわ。ここは霧が濃いから長い橋なら先が見えない」

「なんか不気味っすね」

「でも行くしかないのなら行きましょうよ」

「それもそうね」

私達一行は橋を渡った。不気味なのは人の気配がまったくない。地雷をあんなに派手に起動させたのに、カダルの兵士が全然出て来ない。なぜ?私達が丁度4分の3を渡った時だった。

「やっと橋の端っこが見えてきましたね?」

真二の言うとおり、やっと端っこが見えてきたけど。

「ん?」何かいる?私は目を凝らして見る。

「あれは!」

そこには銃を構えた6人の兵士だった。ずっと待ち伏せていたと言うの?ヤバイ、このままじゃ。

カダルの兵士達は銃をこちらに連射してきた。大量の銃弾がこちらに飛んでくる。すると一星が先頭の私の前に立ち、銃弾をすべて斬る。鉄と鉄がぶつかり、かん高い音が響き渡る。

キンキンキンキンキンキン。

「あいつ化け物かよ」

カダルの兵士達は弾が切れ、リロードをする。この瞬間を日咲は見逃さなかった。

「真二!!」日咲にそう呼ばれた真二が

「分かってるっすよ!」と言って空中にピンを抜いていない手榴弾を投げた。手榴弾は頂点に達した後日咲の前に落ちてくる。丁度日咲の腰の高さまて落ちて来た時、日咲は腰から小型ナイフを放つ。ナイフは手榴弾に刺さり、爆発する前にカダルの兵士の胸に刺さった。当然その後は言うまでもなく爆発し、6人の敵を倒した。

「なんとかなったわね。一星と真二、助かったわ」

「当然っすよ!」

「これでお菓子ダイブはチャラですね」

「分かったわ。チャラにするわ」

「さすが新撰組ですな~」皆で喜んでいると後ろから。

「おい。て、てめーら誰のお陰だと思ってやがるんだ」

「そ…そうですよ。何勝手に盛り上がってるんですか?」

「?同然の報いじゃない。真二、鎖を切ってあげて」

「了解っす」

真二はアツキと竜真の鎖を切った。

「あれ?あの日咲、月菜が居ないっすけど」日咲が辺りを見渡す。

「あ、あそこに居るわよ」

月菜は地雷で舞い上がった土に埋もれて、手だけが地上に出ていた。

「よいしょっと!大丈夫っすか?」

真二が月菜を土から出す。月菜は遠い目をしながら

「綺麗な川でクロールの練習をしてたのに」

「どこの世界に三途の川でクロールする人がいるんすか!しっかりしてくださいっすよ」真二と月菜の話をよそに

「竜真さん大丈夫ですか?」

「大丈夫な訳ねーだろ、ヒットポイント0だっつうの」

「いつからそんな世界観になったんですか?それに竜真さんも僕も、なんか傷とか治ってません?」

今さっきまで爆発でボロボロだった僕らの服や傷が治っているのだ。

「そりゃそうだろ。傷なんてめんどい設定引きずるわけにはいかねーだろ。そうゆうのは察してやれよ。家が壊れようとも服が破れようとも、次のコマでは何事もなかったように直る。でも顔の傷だけは何年たっても治らない。アニメや漫画、小説と言う名を借りた物理法則の完全無視」

「やめろーー!どんだけカミングアウトしてるの!それでもこの物語の主人公でしょ!」

まったくこの人はどこへ来ても同じなんだから、まぁそれが竜真さんか。

「貴方達、先に進むわよ」

ついに城の門の前まで来た。外には兵士が居ないみたいだ。中で待ち構えてるのだろうか?

「ん?」竜真さんが何故か辺りをキョロキョロしている。

「どうしたんですか?」

「いやー、あれが無くてさ」

「あれ?」

「そうあれだよあれ」

「だからあれってなんですか?」

「分かんねー奴だなー。インターホンに決まってんだろ?」

「分かってねーのはお前だろーが!こんなデカイ城にインターホンなんかあるわけ無いでしょ!なに考えてるんですか?」

すると一星さんが「え?無いんですか?」

「お前もかい!!」まったく。

「開けるわよ?」

日咲さんが扉を押し、開く。中は大広間になっていた。

僕らは大広間の中心に行き、円を作り、どこからの攻撃でも耐えられる陣営を取る。

それにしても変だ。外には地雷や兵士達があんなに配置されていたのに、この静けさはなんだ?何かが起こる気がする。それはここにいる全員が感じていた。

パンパンパンパンパンパン。その拍手の音に、全員が音が鳴ってる方を見た。

「実に素晴らしい。よくここまでたどり着きましたね。ひとまずおめでとうと言っておこう」

その男は大広間の正面階段を上りきった所に居た。

「てめーは!」

「カダルよ。今回の事件の首謀者ね」

「紹介ご苦労。新撰組局長近藤さん」

あれがカダル。新撰組隊士を拉致するよう指示した人間。

「貴方がした事は重罪だわ。よってここで貴方を殺します」

そう日咲さんに言われたカダルは高笑いをしながら

「俺を殺す?俺を殺すのか?これは傑作だ」

「笑ってられるのも今の内だぜ、二度と笑えねーようにしてやる」

竜真さんがニヤリと笑みを溢しながらカダルを睨む。

「確かに…確かにお前らの世界では死刑に当たる重罪なのかもしれないど、ここはグルデール島。その王であり私が法律、お前らの権利などない」

パチン!カダルは指を鳴らす。すると大広間の左右の扉が開き、大量の刀を持った兵士達が現れた。

「お前達はここへたどり着いた。その褒美だ、お前達の死刑は今日執行する。かかれ」

その言葉と共に兵士達は一斉に殺しに来た。僕達はただ目の前にいる敵を斬る斬る斬る。背中は互いに守り、前に居る敵だけを斬り続ける。

「なぁ!なんだこいつら、たったこれだけの人数で」

「押せ押せ!数で押しきれ!」

斬っても斬ってもキリがない。一体何人居るんだ。持久戦になったらやばい、どうするんですか?竜真さん!

「チッ、しゃーねーな。おい日咲!ここは俺らに任せてお前らは牢獄に向かえ。仲間が待ってんだろ?ならここは任せて早く行け」

その言葉に悩んだ日咲は。

「わかったわ。ここは任せる。行くわよ!」

「あたしは残るわ。竜真達だけだと心配だし。それに副長の怖さ…思い知らせてあげるわ」

その言葉に日咲は頷き、一星と真二と共に下へ続いている螺旋階段を下りていった。それを見た竜真は

「へっ!月菜、お前も熱くなってやがるな」

「当然じゃない。あたし達に喧嘩売った事、後悔させてあげるわ!」

月菜は敵を斬りながら思う。不思議な気分だわ。このあたしが他人のために動くなんて。しかもこんな汚れ仕事を自ら選ぶなんてどうかしてるわ。でもなんだろう?体が動く軽いわ。そうね、今のあたしはやるべき事がはっきり分かってる。これがあたし新撰組副長、土方月菜の仕事!

「な、なんですかあれ!月菜さんが…月菜さんの刀がめっちゃ光ってるんですけど!!」

それを見た竜真は、やっとかと言うような顔をし。

「あのあいつを見るのは久しぶりだぜ」と竜真さんが分かってる感じに言うので

「なんですかあれ?」と戦いながら聞いた。

「月菜の正体はな、もうほとんど使える人間は居ないと言われている、神術使い」

「神術使い?」

「人間技を越えた存在。ここ最近はめっきり使わなかったが、どうやら封印を解いたらしいぜ。敵となっちゃめんどい相手だが、味方となっちゃ今の月菜ほど頼れる奴は居ねー!」

月菜さんの刀は白く鋼のように輝き、月菜さんからは物凄い生気を感じる。その輝きはまるでプリンセス。そうか、どうやらプリンセスって言うのは全部嘘って訳ではないらしい。

「ビビるな!所詮女だ、殺せー!!」

月菜の背後から6人で同時に斬りかかる兵士達。

「死ねーー!」

その攻撃に対し月菜は左手を広げ向ける。

「止まりなさい」

「な、なんだ?体が動かねー」

後ろから斬りかかった6人の兵士の動きが止まる。そして月菜が自分の周りに円を書くように剣を一振りする。すると月菜の辺りにいる兵士達が血を流しながら倒れていく。傷は肩や腹、顔に脚、様々な箇所にあった。その量の傷を複数人に。速いとか遅いとか関係がない。

そんな月菜さんの戦いに見とれてしまっていた。

「後ろだ!アツキ」

僕は後ろからの攻撃に気付いていなかった。

竜真さんの声で慌てて振り返るが、既に遅く、刀は僕の顔の近くまで来ていた。グサ! 僕は驚いた。

なぜなら僕斬りに来た人の首に白く尖った何が刺さっていたからだ。それが何かは分からない。

その物体はその後、ガラスのように割れ、消えてしまった。こんな事が出来るのは月菜さんしかいない。僕は月菜さんの方を見る。

すると月菜さんは僕の方を向き、剣を振っていた。月菜さんの前には誰も居ないのに剣を振っていた。

「まったく世話がかかるわね。帰って寝てたら?」

月菜さんはそう僕に言うと、剣を振り回した。すると剣から、さっき僕が見た白く尖った物体が月菜さんの刀から何個も飛んで来た。それは兵士に次々に刺り、どんどん兵士の数を減らしていた。

状況が不利だと思ったカダルはその場を離れ、奥に行ってしまう。

「竜真!ここはあたし達に任せて、アツキと竜真はカダルを追って。しっかり首取ってきなさいよ?」

「へっ。んな事言われなくとも分かってるっつうの!行くぞアツキ」

「はい!」僕も気合いを入れ返事をする。

その頃日咲達は螺旋階段を下った後、いくつか部屋を通り、敵を倒しながら牢屋を目指していた。

「まったく、牢屋から人を連れ出すなんて、まるで悪者っすよ」

「私は楽しいですよ。人斬るの好きですし、それにこうゆう悪役やってみたかったですから」

「一星は元から悪そのものっすよ!」

そんな会話をしながら走る3人だが、正面に鉄の扉が見えた。それを日咲はぶった斬り、中へ入る。やっと牢屋にたどり着いた3人。だが、そこにはもちろん何人者の看守がいる。

「動くな!」看守が日咲達に向かって言う。

「貴様らがやっているのは国家への反逆だぞ!」

それに対し、日咲が「国家への反逆?面白い事言うわねー。反逆も何も国なんてここにはないわ!」

「何を言うか!ここはカダル様の国だ。それを脅かす輩は許さん」

日咲は強めの口調で「カダルの国?何バカなこと言ってるの?確かに前はここ、グルデール島は一つの国だった。でもそれを貴方達が滅ぼした。そして、廃墟に住み着いているだけじゃない!国って言うのは王のためじゃなく、民のための国!法律と言う名を借りて自分の思い通りにする奴等は私は許さない」

日咲達は看守を片っ端から斬りまくる。そして牢屋の鉄格子を刀で斬り、新撰組隊士の救出を完了させるのだった。

一方竜真とアツキはカダルを追って走っていた。

「まったくさ~アツキ。俺らがやった事がこんな事に繋がるなんて、世の中どうなるか分かりやしねーな」

「俺らがじゃなくて、竜真さんだけですけどね。まぁいいじゃないですか起きてしまった事は」

アツキが何故か笑っているのを見て竜真は

「なんだアツキ。お前楽しいのか?」

「いや楽しいと言うか、なんかやっと信頼出来る仲間に会えたなって思って」

「お前、ボッチだもんな~」

「ち、違げーよ」

「へっ、信頼出来る仲間か」

「はい。竜真さんと一緒なら、そこが地獄だろうと笑って付き合いますよ」

竜真はアツキの言葉に笑みを浮かべ

「そうかよ」と言った。

僕達は敵を倒しながら、道を走り、階段を上り、気付けば一番上の部屋の入り口まで来ていた。

月明かりに照らされながら城のてっぺんに立っている女が言う。

「やっと来たみたいだね」と、長い髪を風に揺らしながら、その女は不気味に笑う。

「竜真さん。たぶんこの部屋が最後の部屋だと思います」

「よし、開けるぞ」

僕らは一番上の最後の部屋の扉を開けた。

「おいおい、鬼ごっこはもう終わりか?」

そこにはカダルが居た。

「鬼ごっこ?何を言ってるんだ?お前達は俺のクモの巣に引っ掛かった餌に過ぎない」

カダルの兵士達がぞろぞろと部屋に入ってきた。

「おいおい、こんな雑魚共何人の連れようと無駄だぜ?それに戦ってのは!」

凄い速さでカダルを斬りに突っ込む。

「大将討ち取れば終わりなんだぜ?」

カダルに対して剣を横向きに振る竜真。キン!!!!物凄い音が響き渡る。が竜真の剣はカダルには届かなかった。なぜなら竜真の剣はカダルに届く前に止められていたからだ。

「くっ!」

竜真の前に一本の剣が地面に突き刺さっている。竜真は上を見る。そこには剣を地面に突き刺し、剣を握ったまま逆立ちをしてる女が居た。竜真は一旦距離を取り、その女は地に脚を着ける。竜真は城に侵入する前に日咲からあることを聞いていた。

「竜真、一つだけ忠告してくわ。今回カダルはある人間に警備を頼んだ。その人間とは最強の殺し屋と呼ばれた人間よ?」

「殺し屋?おいおいなんで警備が殺し屋なんだよ」

「とにかく、その女を見たら気を付けて」

「女?」

「そうよ。特徴は長い髪に赤い目。けど一番の特徴はその刀。通常の刀より彼女の刀は長い」

そうか、こいつが。

「やっとお出ましか。殺し屋さんよ」

「えへへへ」とその女は苦笑いをする。

「アツキ!そっちの兵士は任せた」

「はい、任せてください」

アツキは剣を抜く。その一方でカダルはその女に対し

「おいお前、しっかり殺せよ?」

「はいはい分かった分かった」とカダルの命令にめんどそうに答える。

「まさかこんなガキが相手だとはな、力が抜けちまうぜ」

「ガキじゃないよ!もう17だし、胸だってこんなに!」肩を寄せるが

「小せーじゃねーか。やっぱガキだな」

「そうかのかなー?」

その女は、困ったように悩む。

「ってそんな話どうでも良かったんだ。私は早く貴方と戦いたい。私、殺し屋なんかやってるけど、それはあくまで稼ぎ方であって、本当はただ。強い人と戦いたい。ただそれだけなんだ」

「強い人ね~。ならテメーは俺の前に立った事に後悔させてやる」

その竜真の言葉に楽しみそうな顔をしながら「それは楽しみ!」と言った。

「じゃ、始めようか。私は風舞希(ふぶき)。君の名前は?」

「坂本竜真」

「坂本竜真か~。じゃー行くよ?」

「いつでも来やがれ」

二人は戦闘の構えをし、目を血走り合う。果たしてこれは人間同士の戦いなのだろうか?まるで獣同士の戦いだ。

風舞希が先に竜真の間合いに飛び込み、先制攻撃を仕掛ける。が、竜真はそれを紙一重で避ける。避けられた風舞希はすぐさま振り返り、その長い刀を振りまくる。しかし竜真はそれをすべて弾き返す。凄まじい速さで二人の刀が何回もぶつかる。

竜真が突きをし、それを風舞希が竜真の方向に飛び込み避ける。そのまま風舞希は頭を下にし竜真の背後に落ちて行く。風舞希は剣を下に振る。竜真にとっては下から剣が上に向かってるくる。互いの剣がぶつかり、互いに距離を取る。

「へへっ、やるじゃねーか」

竜真は頬を斬られ血が出ていたが、それを手の甲で拭く。

「竜真さんも中々やるね~。でもこの程度?」

「へっ!よく言うぜ。そんな肩をしながら」

「肩?」風舞希は自分の肩を見る。

あれ?いつの間に!いつ斬られたんだろう?

風舞希は肩の部分の服が赤くなっていて、斬り後があった。それを見た風舞希は目の色を変える。その目はまるで子供が新しいおもちゃを買って貰ったような、ワクワクした目だった。

「あははははは。凄いね。こんな気分久々だな~。ダメだよこんなの我慢できない。体が反応しちゃうよ。」

「おいおい、いつからそんな変態になったんだ?」

「変態?そうだね~。そう思われるかもしれないけど貴方と戦いたくて我慢できない。血が沸騰するのを感じる。うん。これからが本番だよ!」

風舞希は竜真に刀を向け言った。二人は地面を思いっきり蹴飛ばし、2回戦を開始する。

剣が何十回何百回、物凄い速さでぶつかり火花が飛び散る。しかしそれに混ざって血が飛んでいる。それは竜真の血だった。

チッ!ふざけた野郎だぜ。その剣の特長はその長さゆえの間合いの広さ。そんだけ長ければ、相手の間合いに飛び込まなくても、自分の間合いに相手を入れることが出来る。たがその剣に欠点があるとするならば、それは圧倒的なスピードの低下だ。言うまでもなく当たり前の話だが、こいつにとって、その欠点のはずのスピードがむしろ強みになってやがる。まるでこいつの周りに斬れる風が舞っている。

「やっぱ強いね!私がここまで熱くなったのは久しぶりだな~」

「そうかよ」

「でも貴方はまだ本気じゃないでしょ?」

「ん?」

「私分かるんだ。確かにスピードは私の方が上だし、今押しているのも私なのに、それなのに私の心は何故か余裕がない。貴方何者なの?」

その質問に竜真はニヤリと笑みを溢した。

「なーに、ただの侍だ!」

「侍。そうか。これが侍なんだね……」

「お前は強いよ。だから俺の仲間にならねーか?」

「え?」

「ちょっと竜真さん。なんで敵を勧誘してんですか?」

「別に強ければ、敵も味方も関係ねーだろ?なぁどうだ?お前にとって悪くない話だろ?」

「ん~」風舞希は腕を組み悩む。

「なら私に勝ったらいいよ?私が貴方に負けたら仕事失敗だし、そしたら引退しなきゃだからさ。だから勝ったらいいよ?」

「言ったな。よし。ならここからは遠慮しねーぜ」

再び始まる竜真と風舞希の戦い。だがそれは今までのものとは違った。竜真が風舞希をどんどん押していく。

何で。何で。この人は何でこんな目をしてるの。変な感じ…1対1の勝負なのに。ただの一対一のいつもやってる勝負のハズなのに。私一人で凄い人数と戦ってる気分。

竜真が隙を突いて、風舞希に蹴りを決めた。飛ばされる風舞希はそのまま壁に激突し血を吐いた。

今日に限って自分が鈍く感じる。

「まぁ守る物がねー人間はこんなもんか」

その言葉に風舞希に怒った表情をし、竜真に飛び掛かる。竜真は風舞希の攻撃を防ぎ、押し合う二人。

「随分私を知ってる様な事を言うじゃん。貴方が私の何を知ってるって言うの」

「何も知らねーよ。分かってるのはお前の剣は軽い。何の意思も夢も無い哀れな剣筋だ」

「軽いって……?ならこれは!」

風舞希は高速でバク転をし、竜真と距離を取り、ジャンプをする。側面の壁に両足を着け、蹴り飛ばす。

必ず殺す。それが私の剣。

竜真は自分に向かって飛んでくる風舞希を見るが、風舞希の刀が竜真の視界から消える。竜真は目を凝らして、風舞希の持っていた刀を探す、そして刀を見つけた。場所は自分の目の前に。

「くっ…」

竜真は慌てて、その刀を弾く。しかし絶えずに風舞希から刀が飛んで来る。

キンキンキンキンキンキン。

竜真は幻の刀を弾く。幻の刀…何故なら風舞希はまだ空中に居て、竜真に刀は届かないからだ。それなのに風舞希はその場で刀を振り、その反動で風舞希は宙に浮いて、少しずつ竜真に近づいて行く。風舞希から放たれる幻の刀は竜真にしか見えていない。他から見ればそれはただの風だ。しかし竜真の目には写っている。こちらに飛んで来る大量の刀が。

弾かれてる?私の剣技が。私は負けられない、負けたくない。

風舞希が竜真に近付き、本物の刀を振り下ろす。竜真はそれを防ぎ、辺りを風が舞う。その風で床や壁に亀裂が入り、二人の足元が少し沈む。

止められた。完全に見切られ、私の剣を止めた。終わりだ。私の勝ち目は無くなった。今の私が何をしても、この人は倒せない。この人の目には私が見えていない。もっと上を、私なんかが見ている景色の遥か上をこの人は見ている。

風舞希は刀を鞘に収めた。

「私の負けだよ。私…殺し屋引退するよ。これからは今まで人の命を無駄にしてきた分、命を拾う事にするよ」

「フッ、勝手にしやがれ。それがお前のやりたい事ならな」

「うん!」と笑顔で風舞希は返事をした。これで竜真と風舞希の戦いは決着した。

だがその結果に気にくわない者が一人居た。そう、それはカダルだった。

「許さん、絶対に許さんぞ。この世界じゃ俺が絶対だ。俺の望み通りにならないとダメだ」

カダルは、竜真と風舞希にバレない位置から銃を構える。そして竜真を狙い撃った。

その発砲にすぐさま気付いたのは風舞希だった。風舞希は竜真の前に立ち、弾丸をぶった斬った。キン!と音が鳴った後、二つに切れた弾丸が地面を転がる。そのとっさの風舞希の行動に竜真は驚いた。

「お前…」

「言ったでしょ?これからは命を拾うって。そしてケジメをここでつける!」

風舞希はカダルに襲い掛かり、カダルを斬ったのだった。

アツキも兵士をすべて倒して。今回は何とかミッションクリアと言ったところだった。

竜真とアツキと風舞希は階段を下り、大広間に戻った。そこには月菜が居た。まるで家でテレビを見てるかのように肘を地面に着け、だらけていた。そこに兵士は一人も居なかった。一人も残らず、月菜に斬られていた。

「終わったようね」

月菜の言葉に竜真は「あー、すべて終わったぜ」と言った。

そこに地下から救出した隊士を連れて日咲達が出てきた。

「そっちも救出完了って訳だな」

「えー。なんとかなったわ」

みんなはホッとし、後は帰るだけとなった。

「ところで旦那、そこに女の子誰っすか?」

真二は風舞希の事を言った。皆が風舞希に注目する。風舞希は暗い顔をしながら自分の正体をばらそうとした。当然殺し屋は死刑になる。それを風舞希はもちろん知っていたが、正体をばらす事を決め、自分の人生に終止符を射つことを決めた風舞希は口を動かす。

「わ、私は」

「こいつは、誰か知らねーが俺らを助けてくれたんだ。こいつが居なかったらあの殺し屋には勝てなかったぜ」

風舞希は驚いた表情で竜真を見る。

「こいつの名前は風舞希って言うらしいぜ、今は俺の仲間だ」

その言葉に風舞希はニッコリ笑った。

やっと、やっと出会えたよ。私、一人じゃなかった。私はただ一人になっていただけだったよ。

「さて、帰るか!」竜真がそういい城を出ようとする。

「あれ?竜真さん、ここでリング使って帰れないんですか?」

「お前バカか?ここは転移バリアが張られてるから無理だろ。たぶん城から少し離れないと」

「そうだったんですね、なら急ぎましょう!」

僕らは城を出た。そしてバリアが無い所まで歩いている途中だった。

ゴゴゴッ物凄い音がなり同時に地面が揺れだした。

「全員体制を低くして!」

その地鳴りの正体はすぐに分かった。地面を突き破って出てきたのは、大きな船だった。船から腰に刀を差した搭乗員が何十人も降りてくる。そして、最後にあからさまにボス的な人間が降りてきた。

「私はカダルの父だ、お前達、息子をよく殺してくれたな。お前達もここで滅ぶが良い」

どうやら僕らを殺しにしたらしい。

「ここは私に任せてみんなは先に帰って。私はここで戦わないと駄目になる」

風舞希は一人で戦うつもりだ。

私はここで死ぬとしても構わない、この人達を逃がせれば。

「なら俺達も手伝うぜ」

「そうですね、仲間ですもんね」

「竜ちゃん、アッキー」

「なんだその呼び名は」

「そうだよ。アッキーって」

「えへへ。いいじゃん仲間なんだし」

僕らは3人は刀を抜き、準備万端だ。

「だそうだ日咲。ここは俺らに任せてお前らは早く帰れ。お前らの仕事は俺らの世界でもあるだろ?こんな仕事俺らに任せろ」

「分かったわ。なら任せるわね」

僕らは新撰組含む、今回この世界に来た人間が城から離れて行くのを見て、戦いは始まるのだった。

「まったく、どいつもこいつもそんなに戦いが好きかねー?」

「竜真さんが一番楽しんでるくせに、何言ってるんですか?」

「私は大好きだよ、斬るの楽しいし」

「まぁーとにかくだ、俺達は確かに血は繋がってねーし性格も合わねー。だがそれ以上の繋がりがあるって思うぜ俺は。侍ってのは何回もぶつかり合おうが、たった一回背中を預けられれば、それだけで充分だ」

「竜真さん」

「竜ちゃん」

竜真は嬉しそうに「だから、ここを乗り気って、旨い飯でも食いに行こうぜ!」

「はい!」

「うん!」

僕ら3人は兵士を全滅させ、カダルの父親だけになった。

「待て、俺を殺せばどうなるのか分かっているのか?」

「そんなもん知ったこっちゃねーよ」

竜真は剣を振り、斬ったのだった。

「命の価値は皆平等だ!だか他人の命の価値下げたなら、自分の価値も下がるくらい小学生でも分かるぜ」

僕らは、グルデール島の戦いに勝利し、帰還するのであった。

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