第3話 昼寝監禁
台風が近づいている週末、外に出る気にもなれず(そもそも出る気はないが)部屋で読書をすると決めた一日。雨音を聞きながら本を読んでいると、少し眠たくなってくる。
よし、午前の間に1時間ぐらい仮眠をとろう。昼寝という贅沢な時間の使い方も休日のなせる業である。
そうと決まれば、カーテンを閉じ、部屋の電気を消し、スマホのアラームを1時間後に設定し布団に潜り込む。余談だが、昔から毛布を頭からかぶらないと眠れない癖がある。包まれてる感じが安心するのだ。
眠かった俺はすぐに眠りに落ちていった。あぁ極楽。
「ん…。」
まだ30分くらいだろうか。アラームが鳴った気配はないが目が覚めてしまった。まぁ早く起きるぶんにはいいか、と思い、動こうとすると違和感に気づく。
手首と足首がうまく動かない。目を向けると四肢すべてに手錠のようなものが付いていて、ベッドの四方に繋がっているようだ。
寝起きで回らない頭だったが、犯人は見当がついた。
「おい…。これはなんのつもりだ。」
「あ、おはよう幸也。」
布団越しに甘ったるい声が響くとともに、おなかの上に重みを感じる。やっぱり悠乃か。
「幸也のパソコンの履歴に監禁されるやつがあったから、そういうことしてほしいのかなって思ってやってみたよ。」
勝手に見るなよ、パソコンのパスワードなんで知ってんだよ、手錠どこで買ったんだよ。あと監禁されるやつじゃなくて、特殊捜査官が捕まって拷問されるやつとかが好きなんだよ。と、つっこみたいところはたくさんあるが、この状況で下手に口を滑らせるとまずい気がする。
「そうか…。創作として見る分にはいいが、実際やられると自由が効かなくてつらいな。だいぶ勉強になった。外してほしい。」
できるだけ冷静に、悠乃を刺激しないように淡々と伝える。
「外す?何言ってるの?今日は一日ゆーのちゃんに監禁されてみよ?せっかくだし。」
何を言ってるのだこいつは…。
「いやいや、やめ「大丈夫。ご飯も食べさせてあげるし、トイレもさせてあげるし、えっちなことも頑張るよ?本も読み聞かせてあげるし、できないことはできないかもだけど、精いっぱい努力するからまかせてね。」
…。なんとか抜け出さなければならない。このままでは俺の休日が蝕まれるだけでなく、人権までもが奪われかねない。どうすればいいのだ。考えろ考えろ考えろ…。
必死に思考を巡らせている俺を前に、悠乃は一度も目をそらすことなくこちらを見つめている。
「ねぇ幸也…。」
悠乃が蠱惑的な笑みを浮かべながら顔を近づけ、耳元で囁く。
「絶対逃がさないから。」
休日の支配者 おぽちょ @potyomuki
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