第5話 エピローグ

 人魚は300年生きると泡になって消えてしまいます。


 人は死ぬと天の国へ行くことになります。


 風の精は善行を積むことで天の国へ行くことができます。


 魔女は・・・



 魔女は一人になってつらつらと考え事をしていました。泡になった家族のこと、刺してしまった王子と姫のこと、風になった姪のことそして自分のこと。誰にも忘れられてしまった深い海の底で見えないそらを見上げながら。


 海の底の水は凍りそうなほど冷たいです。

 美しい珊瑚も魚もはしません。

 美しい人魚ももういません。


 暗い海の底で魔女は今日も思っています。いつか光が届くまで、ずっと。


 

 

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もう一人の人魚姫 ユラカモマ @yura8812

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