第2話 異世界で理想のお姉さんと遭遇

 きたわ!これが異世界の私!目覚めてベットから飛び起きました。私は12歳の美少女で、それでもって村長の娘。すくすく育っていい子なのよ。やっと目覚めたというかさっきまで天国らしきところにいたみたいなんだけど、私、12歳から始められるのね。なんてチートなんでしょう。だってこの子の記憶まであるもの。美少女だってことも知ってるし、今まで育ってきたこととか村のことまで。幼馴染とか母さんが私好みの女性だってことも知ってるし。やったわあたりよ。そう言って私は身支度を整えます。日本の暮らしから比べるとこの上なく不便ではあるのですが、それはほら、この子の記憶があるから大丈夫。適当に着る服を選んで、髪を整えてと。


「おはよー!!」

「あら、エミリーえらく元気ね」


 そう笑って挨拶してくれるのは母さん。この子の記憶の中での一番の美人で、最も私好みのお姉さんです。見て私の母さん本当に綺麗。朝からこんな綺麗なお姉さんと会話できるなんてこの環境幸せすぎじゃない?それにね、私が母さんの喜ぶことをすると、撫でてくれたり抱きしめてくれるの。それでどさくさに紛れて胸に顔をうずめたり、顔で胸を満喫できちゃうわけよ。それに、キスまでしてくれるのよ。それはおでことかホッペになんだけどね。鼻血ものじゃない?


「父さんは?」

「父さんは、村の人と仕事にもう出かけたわ」

「そう、じゃあスーザンはどこ?」

「庭で遊んでるわ。朝ごはんだからエミリー呼んできてくれる?」


「はーい」と元気よく返事をして妹のスーザンを庭に呼びに行きます。いい子にしているのは全ては母さんのため。だって褒められてご褒美頂きたいもの。ふふふ。記憶を取り戻してから、私は母さんとの甘々な生活を夢見ています。下心満載のいい子ですが何か?スーザンは私より2つ下の10歳の美少女。やっぱ姉妹って似るのね。髪の色も同じで目元なんてそっくりなんだもの。将来有望ってことが今からでもわかるわ。


「スーザン!ご飯だって」

「お姉ちゃん」


 そう言って駆けて来て私に抱き着くというなんとも可愛らしいことをしてくれることも将来有望だって言える理由だったりするの。よしよしとサラサラの髪をなでてあげれば嬉しそうに私にクリッとした目をキラキラさせ見てくるとこもね。行こうかと言うとすかさず私の手を握ってきてくれます。


「ねぇお姉ちゃん今日はスーザンと遊んでくれる?」

「んー母さんのお仕事のお手伝いがあるから、終わったらいいわよ」


 私の言葉に喜ぶスーザンに親の気持ちで接してしまうのは、やっぱり前世の記憶があるからでしょうね。こういう日々を過ごしてきたわよねという記憶があるし、とりあえず今までのままでもいいかなと思っています。前世の記憶があるからと言って、何事もなければそれはのんびり暮らせばいい事だし。都合よく、母さんという私好みの女性もいるのだもの。同じ屋根の下で暮らして思いっきり甘えることができるのよ?なにこの環境本当理想そのものじゃないと完全に勝ったと思っています。これでスローライフ完結じゃない?と早くもこの環境に大満足している私は上機嫌で朝食をとっていました。


「エミリー、母さん赤ちゃんができたみたいなの」


 私は声も出さずに心の叫んでいました。えーーーー!と。なぜかって、もう子供は作ってないと思っていたんです。だって、母さんは理想の女性だし、妹のスーザンも10歳だからそういうことはもうしてない?とかすかな期待をもっていたりしてもいいじゃない。普通はそれってありえないことなんだろうけれど、理想の人が父親であれ、男に抱かれる想像なんてしたいと思う?私は完全に都合よく解釈していました。所詮は他人の女なんですね。そういう事実を突きつけられた瞬間です。


「エミリーは喜んでくれないの?」


 おろろと不安そうな母さんの顔を見て私は慌てて嬉しいよと作り笑いをしていました。母さんには気づかれないようにさっさと二階の自分の部屋に戻った私は、あまり柔らかいとは言いがたいベッドにうつ伏せにころがります。

 母さんは父さんのものなのよね。記憶を取り戻した初日から失恋です。エミリーだけの記憶だけならばありえない恋だったのですが、よく考えると前世の記憶で母さんには一目惚れ状態だったわけなんですよね。エミリーの記憶もプラスあるので余計に堪えます。

 やっぱり簡単に綺麗なお姉さんとむふふなスローライフなんて送れないですか。がっかりして、これからどうするのか考えます。やっぱり少ししたら綺麗なお姉さん捕まえる旅に出るしかないわね。それまでに旅の準備したりとかしないといけないわ。

 私の選択肢の中にはここの村娘を現地調達という選択肢はありません。たまたま、うちの母さんが私の好みど真ん中だっただけです。最初からラッキーな状況だっただけなのです。私だってこんな簡単に理想のお姉さんに出会えるなんて思ってなかったわよ。


「よし、やるわよ」


 心に決めた瞬間です。これからの人生を共に歩む理想のお姉さんを探す旅にこれから挑みます。

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