第50話 楽しいお片付け♪1
F管の仕組みと役割を一年生に教え、続けてテナートロンボーンとテナーバストロンボーンの違いを説明した
その後「じゃあみんなで練習しましょう」と言って全員揃っての練習を開始しようとするのだが、ふと
姫乃は(あらぁ。仕方ないわねぇ。一度頼姫ちゃんと詩子ちゃんと一緒に楽器倉庫に行かなきゃだわ)っと逡巡し、音楽室出口の方へ視線を向ける。
すると姫乃の視界に音楽室端にズラリと並んだ計10本のトロンボーン視界に入る。
先程、
姫乃はそれを見つけると機を見るに敏、これ幸いと「せっかくだから頼姫ちゃんと詩子ちゃんの楽器も決めちゃいましょう!」と2人とに呼びかけて、音楽室の端に並べてあるトロンボーンの中から詩子の専用楽器を選びに行く事にした様だ。
実は元々その積りもあって弘之に沢山楽器を組み立てさせていた姫乃だが、それをF管の説明している間にすっかり忘れてしまっていて頼姫、詩子と3人で向かっている途中で(あらぁ?そう言えばわたし、元々そのつもりだったんだぁ)っと思い出した姫乃であった。
完璧日本美人お姉さん、
忘れたって良いじゃない。人間だもの。
ひめの
因みに頼姫は楽器決めの時「お父様に買って貰いますわ」と言って、トロンボーンパートの枠を奪ったのだが、いつ買って貰うのかが判らないので詩子と一緒に取り敢えず、楽器を買って貰うまでの繋ぎで使う楽器探しをする事になったようだ。
1人取り残された弘之は姫乃から言われた課題を練習だ。
今日も今日とて基礎練習。
「上達に近道無し」である。
そんなこんなで1人で黙々と、途中で突然音楽室にテロリストが襲撃してきてそれをトロンボーンでバッタバッタと切り倒すアクション大作妄想などを挟みながら練習をしていた弘之。
だがやはり1人は寂しいのか、チラチラと姫乃達がキャッキャウフフと楽しそうに楽器選びをしているのを盗み見ていた。
弘之が何度目かのチラ見をしていると、姫乃と目が合った。
すると姫乃は弘之に向かって「おいでおいで」と口を動かしながら手招きをしているではないか。
(もしかして気持ちが通じた? 僕も一緒に美人お姉さん&金髪縦ロールとキャッキャウフフのハーレム天国!? ←詩子が抜けてる……)
おいで〜♪おいで〜♪
そんな姫乃からの誘惑に
おいで〜♪おいで〜♪
なんか、前にもあったなこの
フラフラとハーレム誘惑に負けて姫乃達の元へと辿り着いた弘之。
「姫乃中尉殿っ! 弘之以下1名ただ
到着すると、弘之はその場でビシッと足を揃え姿勢を正して姫乃に向かい敬礼をする。
「うむっ! ひろっち隊員、大変ご苦労であった」
姫乃は弘之の真似をして軍隊式の敬礼を返した。
姫乃からの次の言葉をワクワクとした気持ちで「キャッキャウフフ〜♪キャッキャウフフ〜♪」と呟きながら待つ弘之。
敬礼をして直立不動となった筈の体が、ユラユラと揺れている。
大変気持ちが悪い。
しかし次に姫乃が告げたのは決して弘之が想像していた様なハーレム天国な内容では無かった。
「では、ひろっち隊員! これより本隊は
「えーっ」
姫乃の口から出た自身の想像していた内容と違った展開に対して、明らかに落胆した声を出す弘之。
「そう言わないの。頼姫ちゃんと詩子ちゃんが使うのを除いて、残り8本だから4人でやると1人2本ずつお掃除ねぇ♪」
「「えーっ」」
弘之を
しかし、姫乃が後に付け足した1人2本ずつと言う言葉に自分達は関係無いと思ってぼーっと弘之と姫乃の寸劇を見ていた頼姫と詩子の2人まで若干面倒臭そうな声を上げる。
「みんなそう嫌そうな顔しないのぉ。ちゃんとお片付けしないとスライドが固まったりして大変なんだからねぇ」
そんな一年生達にお片付けの大切さを訴える姫乃。
「「はぁーい」」
渋々ながら返事をする一年生3人。
問題無いどころか、柏木セバスチャンが校内入って来る事が大問題なのだが。
「じゃあまず私がお手本に一本掃除するから、よーく見ておくのよぉ♪」
そう言うと姫乃は頼姫の戯言は聞かなかった事にして、取り敢えず近くに有るトロンボーンを一本手に取ると一年生皆んなに解説しながら掃除を始めていくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます