第14話 トロンボーンは魔性☆?
「へー、やりたいんだ。と・ろ・ん・ぼー・ん♪」
妖しく言ったその人は日本人形の様な長い黒髪が印象的な美少女であった。艶々とした長い黒髪ロング、スッと通った小鼻、シャープな輪郭、一重瞼ながら大きく切れ長の目、その下に有る涙ボクロが年齢以上の色気を醸し出している、そんな少女と大人の中間の様な美少女。
その様な美少女である彼女の言葉に弘之のやっと落ち着いた顔は再び赤くなり、胸の鼓動はまたドキドキと速度を上げてしまいう。
すると、彼女はそんな弘之を脚を組み、左手で持ったトロンボーンを組んだ脚の上に置き、右の人差し指を唇に当てて、何か面白いおもちゃを見つけたように眺めているのであった。
弘之は彼女の薄い唇、長い指先、スカートから見える白く細い太もも、そこから伸びる長い脚に目を奪われてしまいそうになる。
しかし、中学生になったばかりの弘之はその刺激的な光景を「何か見てはいけない物を見てしまうような罪悪感」と感じ直視出来ず、思わず彼女から目線を外し下を向いているのであった。(見たらダメだ! 見たらダメだ! 見たらダメだ! 念仏の様に唱えながら…)
「もー、姫乃! あんまり新入生をからかわないでよね。」
そんな状況を見て、波瑠がプンプンと頬を膨らしながら姫乃と呼ばれたその人物を注意する。
「この子の名前は
波瑠は姫乃の弁解を聞く間もなくそのまま目の前の人物の紹介を始め、「ほら、橋本君も自己紹介して」っと弘之に促す。
先輩に促されて弘之は姿勢を正し「えー、ただいまご紹介に預かりました橋本です。姓は橋本、名は弘之。本日はー大変お日柄も良くー、絶好の仮入部日和になった事誠に喜ばしく存じます。えー小学生部長さんとは先程あった中でしてー…」と言った所で「長いよー! 小学生と違うしー! 」っとゆるーい感じで頭をはたかれた…ハリセンで…何処から…そしていつの間にそれを…。それと、ゆるーいハリセンは尚痛いんやでぇ
なんか微妙な感じになってしまった為、弘之はゴホンっと咳払いし、もう一度姿勢を正し「橋本 弘之です。宜しくお願いします」と改めて挨拶するのであった。
そんな謎の漫才を見て、姫乃は若干引き気味になりながらも一度クスッと笑った後、左手に持ったトロンボーンのマウスピースの周りを細く白い指でツーっと撫でながら「宜しくねぇ、やりたいんだよねぇ?まだぁ♪した事ないんでしょお?うふふ」っと再びおもちゃで遊ぼうとまた弘之を煽って来るのであった。
すると弘之は姫乃の左手に握られてるトロンボーンを見てゴクリと生唾を飲み込むと「はい! やりたいです! (トロンボーンを)」と言った。
姫乃は弘之の視線が自分のマウスピースを撫でた指先とスカートから伸びる脚を見てると思い戸惑う。(あれ?そんなストレートにこられても…ちょっとからかっただけなんだけどなぁ…)
「えっと、は、橋本君?冗談だからね?」
姫乃は戸惑いながら返す。
「えっ!? 冗談なんですか?(トロンボーン)させてくれないんですか? 」
弘之はトロンボーンが出来なくなるのかと思い熱い眼差しで姫乃を見ながら言う。
「ほら、まだ会ったばっかりだし。」
(ど、ど、ど、どうしよう。なにこの子!めっちゃぐいぐいくる。思春期の少年こえー)
姫乃は更に戸惑う。
「会ったばっかりだと出来ないんですか?(トロンボーン)」
(なんで会ったばっかりだと楽器出来ないんだろう、そしたら皆んな吹けないじゃん!)
弘之の謎は深まる。
「もっとお互いを知り合ってからじゃないと…それにまだ中学生だし…ね? 」
(やっちゃったなー。あんまり思春期の男の子を本気にさせたらダメだったんだ…気をつけよう。)反省する姫乃。
その言葉を聞いて、ついに弘之は大きな声で言った。
「中学生だとやったらダメなんですか!? トロンボーン!!? だって……先輩はしてるじゃ無いですか!! 」
ドーン、ガシャーン、バーン、ガラガラ
「「「「トロンボーンかよ!!!」」」」
そこら中から聞こえる盛大な落下物の音と共に、何故かその場で聴き耳を立てていた部員全員から突っ込まれた!
続
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