第11話 仮入部が始まるよ☆①
入学式から数日間のオリエンテーション、教科書配布、クラス交流会、地域探索、施設説明等の日程も終わりザワザワとした新学期特有の騒々しさが落ち着いてきたある日の放課後、弘之と拓郎は吹奏楽部に仮入部するために、期待とほんの少しの不安感のある面持ちで校舎4階突き当たりにある第一音楽室へと続く廊下を歩いていた。
「なあ、弘之は何の楽器がやりたいんだっけ?」
緊張の程が大きいのかこの数日間で既に何度も話した事を聞いてくる拓郎。
(弘之は呆れた顔をして拓郎を見て、ロボットのような抑揚のない声で「馬鹿なの?死ぬの?」と答える。)と言う妄想をしながら…「とろん、ぼーーーん」だよと答えた。
それを聞いて拓郎は「うん、知ってる、てかぼーんが長くない?」だとさ…
「ふぉえー!!!知っとっとね!?何で聞いたと?おっとっととっとっと?(博多弁でおっとっと取っといてあるの?って意味。あ、どうでも良いって?、これは失礼)」
余りの衝撃に博多弁になりテンション高めで返す弘之に「てか何で九州弁なの?」と冷静に聞いてくる拓郎。
「きさんがしょうもなか返しばするけんいかんとばい!」(君がしょうもない返しするからいかんのだよー)はぁはぁと息を切らして返す弘之。
拓郎は不思議な顔をしながら「てかさー昨日のテレビのさー…」と話しを続ける。いや、切り替えたのか?弘之よくわかんないなーっと思って切り替えたのか…?切り替えたなー!?ポコポコ
そんな下らないやり取りを暫くしながら歩いていたらとうとう第一音楽室の扉の前へ来た。
緊張の為か実際よりも大きく見える銀色の両開きの扉。ズーンといった効果音さえ聞こえて来そうだ。「ズーン」口に出して言ってるんだけどね、弘之が…
その扉にはこう書いてあった「この門を潜る者、一切の希望を捨てよ」と。
地獄の門かよ!!
いや、普通に「ようこそ!吹奏楽部へ!」と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます