第63話 バレンタイン①
すぅぃーとばれんたいん。
2月13日 深夜。
乙女たちは悩んでいた。
◆
「どんなチョコにしよう…。やっぱりハート?LOVEとか書いちゃおうかな。流石に、直接的すぎるか…。うーん。そもそも先輩は私の気持ち、絶対気づいてるよね。気づいてて何も言ってこないってことは、、、!!?私、遠回しに振られてる!?ぐぬぬ。諦めないんだから!!よし!バレンタインだし、攻めるしかない!ハートにしようっと♪」
キッチンに積み上げられた、大量の板チョコ。
その脇に添えられた、様々な調味料。
「〜♪〜〜♪」
恋する乙女の夜は更けていく。
◆
「ただのチョコじゃつまらないわね。いや、あえて直球勝負も捨てがたいわ。うーん。たまには彼に直球で攻めてみようかしら。そのほうが愛も伝わるでしょう!!ハートを狙い撃ちね♪」
キッチンに積み上げられた、大量の板チョコ。
その脇に添えられた、奇妙な本。
かすれていて上手く読めないが"解体新ーーー"と書いてある。
「〜♪〜〜♪」
ガサガサ。ガチャ。
いけない!彼が起きちゃったみたい!
「さくらさん?夜中に何して…っ!!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン!
バッ!バッ!バッ!
「あれ?さくらさんがいっぱい?どんな速度で動いてんの…。まぁ、あんまり夜更かしするなよ」
チョコを隠すように超高速で動いたおかげでバレなかったみたい。
「ふー。危なかったわ。まだ見られるわけにはいかないのよ。もうしばらく寝ててね、あなた」
カワウソ乙女の夜は更けていく。
◆
「うーん。なんか羽のポジションが気に食わないですわね。あっ、主様にチョコ用意してないですわ!まぁ作れないしコンビニで買って窓においとけば良いですわよね。寝ますわ♪」
覗き見乙女の夜は更けていく。
ーーーーーーーーー
2月14日。
「お邪魔しまーす」
後輩と一緒に帰宅。
というのも、朝、会社であったら開口一番、
「今日先輩の家に行きます!これは決定です!」
と、寝てないのか、やけに血走った目で言われ、思わず頷いてしまった。
「…キュイ…」
(なんとなく予想してたわよ)
ーーーーーーーーー
とりあえず、軽くご飯を食べて、3人でまったりとしていた。
後輩とさくらさんが妙にそわそわしているが、俺はきっとこのあとチョコを渡されるのだろう。
流石に今日が何の日か考えたら、馬鹿でも気づくだろう。
……
…………
「あのっ、、先輩!今日が何の日かわかりますよね!?」
……きた。
俺も男だ。チョコを貰うのは嬉しい。
だけど、、だけど何故か胸騒ぎがするんだ。
すぅぃーとばれんたいん。
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