第61話 二次会

獣の格付け。



「さて、変態カラス」


「シルヴィアですわよ。さくら様」



 後輩が用事があるからと帰り、女子会はこの2匹で二次会となった。


 二次会などという明るい響きの裏には、獣たちの小競り合いが渦巻いている。



「さっきはアホの子がいて、ちゃんと話せなかったけど、ここならゆっくり話せるわ。私と彼でたまに行く居酒屋なの」


 そう。

 以前出てきた、カワウソ受け入れ態勢がバッチリの居酒屋で二次会をしていた。



「中々いいところですわね。カワウソとカラスが、個室で向かい合ってるという絵面を誰も気にしないのは不気味ではありますけどね」



 カワウソが受け入れられるなら、当然カラスも大丈夫。



「本題に入るわ。変態カラス」


「シルヴィアですわよ。さく…押しかけカワウソ」



 シルヴィアは思った。

 今まで丁寧に接していたが、獣同士の対面においては、ここで下手したてに出てしまえば、相手に勝つチャンスは2度とやってこないと。




 何に勝つのか謎だし、押しかけカワウソが罵倒に入るのかも謎なので、この時点で獣同士の格付けはお察しである。



「なんで彼に付き纏うのかしら。まさかカラスの分際で、彼の隣を奪おうなど思ってないわよね?彼の伴侶は私、さくらって決まっているのよ」



「カワウソの分際で伴侶っていうのも変ですけど。まぁ、隣を奪うとかそんなことは考えていませんわよ」



 カァーカァーしかじか。

 助けられたことを説明し、あらためて、恩義半分・性癖半分の覗き見という名の警護をしていると、シルヴィアは伝えた。



「……変態カラス」


「シルヴィアですわよ。さくら様」


 シルヴィアは思った。

 これは下手に出ているわけではない。丁寧に接しているのだと。



「まぁ、彼との仲を邪魔しなければ問題ないわ。あのアホの子と結託しても、私が負けるわけないしね」



「どこからその自信がくるのかわかりませんが、とりあえず何か頼みません?喉が乾きましたわ」



 ピーッ


 店員を呼び出し獣2匹が注文をする。



「サングリアを下さい」


これはカラス。



「変態のくせにお洒落じゃない。私は焼酎。前割りで」


と、カワウソ。




「渋っ!よくわからないけど、前割りって響きが何か渋いですわよ!」


 なぜか敗北感を覚えたシルヴィアであった。



獣の格付け。

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