第51話 全力乙女

乙女×妄想力=??



 仕事が終わり、駅までの帰り道。


「先輩、今何か欲しいものありますか?」


 先輩へのクリスマスプレゼントを決めたかったので、呼び止めて一緒に帰ってもらうことにした。


「欲しいもの?なんだろうな……しいていえば、家かな」


「えっ?それって…私と家庭をもちたいって///いや…まだ心の準備…が//でも私もゆくゆくはって思ってたし///もちろんウェルカムって『ゴツンッ!!』痛っ!!」


 いったーい。

 上から何か降ってきた…小石?

 なんなのよ。



バサッ…バサッ。

『カァー…カァー…』



 チラッ

 うーん。上を見ても何もいないし、どこから飛んできたんだろう。



「おい?大丈夫か?怪我してないか?」


「あ、大丈夫『スッ』で…」


 あ、あ、あ、頭を撫で、撫で、、先輩が心配してくれ、くれ、てる、、



「全然ダイジョバナイです。トテモ痛いデス。あーイタイナー」


 ぐふふふふ。ナイスよ。小石。



『……ちっ。小石じゃなくて瓦にしとけば良かったですわ』



え?何か聞こえた?



「こらっ!そんなにグリグリと頭を押し付けてくるんじゃねぇ!!全然大丈夫じゃねぇかっ!!」



 あぁ…至福の時間が…。

 小石!カモン!リピート!プリーズ、リピート!



「ったく、帰るぞ!あ、聞きたいことってさっきのか?」


「さっきのなんですけど、ちょっと違いまして…。ガチの欲しいもの回答じゃなくて、クリスマスが近いので、そのプレゼント的なものをですね。はい。」


 流石に家をプレゼントは無理です。



「あぁーなるほどな。貰えるならなんでも嬉しいけど」


「そこを何か!プレゼント考えるの苦手なんですよ…」


 先輩が考えてくれてる。

 何か申し訳なくなってきたなぁ。プレゼントとか迷惑だったかな…。



「じゃあ、マグカップかな!会社で使ってるやつ、もう欠けてきてたし」


「あの…もしかして迷惑でしたか?プレゼントを無理矢理考えさせてるみたいですし…」


「いや、プレゼント貰えるのは嬉しいからな!気にしなくて良い。苦手なのにありがとな」



良かったぁ。

よし!マグカップか!



「どんなマグカップが良いですか?」


「それはお前が考えてくれ。少しはサプライズ要素があった方が、お互い楽しいだろ?俺もプレゼントとか苦手だけど何か用意しておくよ」


「……はい!!」


 どうしよう、先輩からのプレゼント。

 楽しみすぎる。

 もし、俺をプレゼントだとか言われたら///

 きゃー///断れない!おかわり待ったなしだよ!!



「それとも、何か欲しいってものがあるならそれでも良いが」


 うぅー、ドキドキする。今から妄想が止まらないよ!

 えっ?何か欲しいもの??


「欲しいもの……欲しいもの。……ありました。私もせんぱ『ガチャン!パリーン!』が欲し…」




「「なんだ!?瓦が落ちてきたぞ!」」

後ろの方で通行人たちが驚いた声をあげている。




 危なかったぁ。

 興奮のしすぎで変なこと言うところだった。

 謎の殺気に助けてもらえたよ…。



「何かあるのか?」


「……ナイデス」



乙女×妄想力=??

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