第50話 プレゼント大作戦


野生×女子力=??



 さくらさんの1日は意外と忙しい。


 彼のためにお弁当やご飯を作り、掃除洗濯など家事をしなくてはいけない。小さい体では大変だ。


 そんな忙しい中、さくらさんにはどうしても今日やらなければならない事があったーーーーー。







 近づいているわ…


 戦いのときが。


 恋愛力・乙女力・妻力、ありとあらゆる女子力を競い合うイベント。


 そう。

 恋愛戦争クリスマスが!!



 これからの予定を考えると、今日しかプレゼントを用意する時間がないわ。


 何を渡そうかしら…。

 最近、妙な視線を送ってくるやつもいるみたいだし、防犯グッズ?


 いやいや!ダメよ!そんな色気のないもの!

 防犯グッズとか女子力とかけ離れているじゃない。



 それに変な奴がいたら私が始末…注意すれば良いだけだわ。

 カワウソは戦闘民族なんだから、魚と同じように狩れば良いのよ。



 マフラー…手袋…財布…アクセサリー…。


 ううん、アクセサリーは彼から貰うかもしれないからダメ。


 ネックレスとか渡して、もし彼がお揃いのを用意してくれてたら洒落にならないわ。


 え?カワウソにアクセサリーはプレゼントしない?

 うるさいわね。


 カワウソは夢見る乙女な生き物なの!



 本当に何を渡そうかしら。

 考えなさい!もっと考えるのよ、さくら!

 私の女子力なこんなものじゃない!

 必ず最高のプレゼントを用意できるはずよ!!



 ……。


 そういえば彼女は何を渡すんだろう。

 聞いてみようかしら。

 うん。敵情視察も大事よね。決して参考にしようとか思ってないんだから。



「キュ、キューキュキュ、キュ?」


 ピッ。送信っと。


 しばらくすると返事がきた。


「私はプレゼントとかセンスないんで、先輩に直接欲しいものを聞きます!!」




 ……………。


 そうきたかぁぁああ!!


 直接聞くことにより、相手に自分の好意をわからせることが出来る。


『あれ?こいつ、俺のこと好きなんじゃね?でも、友達でも普通にプレゼントあげるか』みたいに、焦ったい気持ちにさせて、その間、彼はずっとあなたを意識する。


 しかも「プレゼントとか選ぶの苦手なんで」と一言付け加えれば、『苦手なのにわざわざ用意してくれるんだ』と、さらに好印象!!


 そしてクリスマス当日にプレゼントと一緒に告白する。


 可愛い女にこんなことされたら、男が断れるだろうか。いや、断れない。


 くっ!完璧なロジック!完璧な戦略だわ。


 直接聞くなんて発想、、、盲点だった…。


 流石ね、マンイーター。

 男を喰らうことに関しては他の追従を許さないわ。




 だけど彼女と同じ方法は使いたくないわね…。


 ピロリンッ


「さくら先生、何渡すか悩んでるんですか?先輩は何を貰っても喜んでくれると思いますよ。さくら先生らしいものを渡してみたらどうでしょうか」



 何をわかった風なことを…。

 けど、一理あるわね。


 私らしいもの…私…カワウソ…彼…男…。


 そうね。決めたわ!



野生×女子力=??

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