第38話 決闘者


冴え渡る勘に戦慄せよ。



 この場を支配するのは、選ばれし決闘者デュエリストだけが持つ、絶対的強者のオーラ。


 俺は今、さくらさんと睨み合っている。

 目線を合わせるために、俺はハイハイStyleスタイルだ。腰が痛い。






 くっ、俺じゃ無理なのか?


 涼しい顔しやがって…まったく表情が読めやしねぇ。




ーーードクン…ドクン…



 はっ、手が震えるぜ。



 右か…。




 いや、左か…。



 ピクッ


 !!?


 今さくらさんの耳が0.2ミリくらい動いた(気がする)!!


「左だっ!!!!」


 頼む…



「キュッキュッキュッキュ」


 なんだ、何がおかしい!




 俺は恐る恐る手の中を見てみる。


 そこには、俺の決断を嘲笑うかのように死神がいた。

 クソ憎たらしいドヤ顔の死神が…



『JOKER』



 ちっくしょぉぉぉおおお!!


「何でだ…確かに動揺して耳が0.2ミリくらい動いた(気がする)はずだ!」


「キュッキュッキュッ」



 ま、まさかーーーブラフだ…と…。





「……ちっ!だが振り出しに戻っただけだ!まだ勝負はつい『パシィィッ』て…」


 さくらさんが尻尾を巧みに使い、俺の手から1枚のカードをはたき落とした。


 そこには…スペードのAがしっかりと描かれている。



 シュッ!


 そして、さくらさんがキザに投げてきたカード。


 ハートのAーーー




 さくらさんの手元にカードはない。


 俺の手元には死神が残されている……。



「ぐわぁぁああ!!!!」


ーーーI'm a loser.ーーー


 ババ抜き…0勝8敗。


「なんでだ!なんでわかるんだ!!!」




「キューキュッキュ」


(うふふ、本当に弱いんだから。女の勘を舐めないで欲しいわね)



「もう1回だ!次こそは勝つ!!」


(まぁ…あなた限定の勘だけどね)



冴え渡る勘に戦慄せよ。

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