チャプター1 新たな拠点

フェイル4 フェイルグループ日本本社

 日本へ着いて、3ヵ月後。千楽町の高層ビルトリニティタワーの半分をフェイルグループ日本本社として構えるこの企業は、事業を拡大していく。金融業を中心に、売り上げが上がり、勢力を広げる。

 現在、この千楽町で様々な海外組織がいるが、セレス達の組織が最大。千楽町の60%を占めている。


 現在、この会社では、セレス達の方針で、正体も何も知らない会社員。つまり、を採用している。これは、組織の資金と富を増やす為だけでは無く、カモフラージュとしても機能するのだ。

 各階のフロアでは、騎士団員と表の社員が一緒に働いており、騎士団員が、表の社員を監視しながら、働いている。

 

「おい、お前。この資料、間違っているぞ。10分で直せ」

「はい、ミクリオ社長秘書」

「君、ありがとう。良く出来てるよ」

「ありがとうございます。イクス専務秘書」

「このプレゼン、貴方に任せます。頑張ってください」

「分かりました。ルカ常務秘書」

「ねー!? 僕と遊ぼうよ? いいでしょう?」

「勘弁してください! シング常務秘書!」


 ミクリオ達も、仕事の監督、監視をしており、目を光らせている。そして、裏の仕事も行っている。


「お前、次は命が無いと思え」

「すみませんでした!」

「ミクリオ、流石です」

「セレス様、ありがとうございます」


 裏カジノなどの定期的に視察、見回りをしており、担当経営者の騎士団員に状況を尋ねたり、指導などを執事であるミクリオ達や上級騎士団員が行っている。また、主であるセレス達も視察することがあり、例えば、レベッカが、騎士団員が経営しているキャバクラを視察の時にトラブルが発生した時には…


「レベッカ様! ちょうど良いところに!」

「どうしたの?」

「酒によったサラリーマンがうちの子の体をお触りしてるのですよ! 止めに入っているのですが、静かにしてくれません」

「あたしに、任せなさい」


 レベッカが、サラリーマンの元へ店内を歩く。彼女のオーラに怯えて、他の客やキャストは、目をそらす。


「やめてください!」

「いいじゃないか! お触りは、客の特権だぜ! グヒヒ!」

「どいて、あんたら」


 騎士団員である店員達は、すぐさま道を開ける。レベッカは、その客を睨み、こう言った。


「ちょっと、あんた」

「グヒヒ! ここもいきまちゅよ!」

「気持ち悪い!」

「あんた! 今すぐやめないと。サツに通報するわよ」

「なんだ? 今、良いところだから、邪魔するな! さて、お嬢さん! ここをペロペロしようかな?」

「やめて!」


 普通なら、根気よく説得するが、彼女は短気な為、激怒し、彼女の体から、とてつもない怒りに満ちた赤いオーラが溢れ出す!周りにいる客達は悲鳴を上げていた。中には、失禁して気絶した者がいる。


「やめろって聞こえないのか!」

「ぐへ!」


 レベッカの渾身の左脚蹴りをお見舞いし、サラリーマンをノックアウトした。

 ノックアウトした後、キャバ嬢に優しい微笑みをして手を差し伸べる。


「ありがとうございます。レベッカさん」

「大丈夫? もし、なんかされたら、あたしに言うのよ。あたしが懲らしめてやるから」

「あの、レベッカ様」

「何?」

「こいつは、どうしましょう?」

「そうね、財布に入ってる金を全部抜き出せ。足りない分は、あたしが工面する」

「分かりました」


 サラリーマンの財布の金を全部抜き取り、店の近くにあるゴミ捨て場へ乱暴に捨てた。レベッカは、お詫びとして客全員に料金半額とシャンパン1本無料サービス。キャバ嬢には、ボーナスを差し上げた。

 

 こうした、セレス達の裏の活躍と表の活躍により、千楽町での影響力を強くしていくのだ。だが、それを良く思わない組織がいた。


 龍神会。関東の暴力団を束ねる組織で、関西の阿修羅会とライバル関係になっている。龍神会の本部長である長谷川は、千楽町近郊にある龍神会本部にて緊急幹部会を開いた。

 龍神会の代紋を後ろに座る5代目会長瀬山、若頭の松岡を始めとする幹部ら全員が、集結した。


「皆様、お集まりいただきありがとうございます」

「で? 緊急とは、なんだ? 長谷川」

「皆様、フェイルグループをご存じでしょうか?」

「フェイルグループ? ああ、イギリスから来た多国籍企業だろう? それが、どうした?」

「このグループは、トリニティタワーの半分を日本本社におき、千楽町を中心に事業を拡大してますが」


 すると、長谷川は、パソコンを起動し大きなモニター画面に千楽町のマップを映し出した。


「こちらをご覧ください。この赤いところは、奴らの事業を行っている領域です。スター通り、北斗通り、豊川通りなど、全体の60%を占めています」

「おいおいおい! マジかよ!?」

「多国籍の力は、恐ろしいな」

「どんだけ、凄いんだよ!?」


 幹部達は、動揺を隠せないでいた。しかし、幹部の1人が反論をする。


「でも、長谷川! 多国籍企業やろ? 世界のことを知っているのだから、土地の

情報などを調べて、戦略を立てているのだから、何も幹部会を開く必要が」

「ですが、3あります」

「え?」

「説明してくれ」

「はい、5代目。1つ目が、海外組織の行動です。この千楽町では、さまざま海外組織がたむろしており、我々が監視してます。しかし、奴らが来た途端、多くの組織が急に撤退したのです」

「そういえば、俺の組の敵対関係の中華組織が消えていたな。なんか、青ざめた表情で、逃げてたぞ?」

「わしもや! 韓国組織が急に撤退してたぞ!」


 長谷川は、2つ目を言った。


「2つ目は、千楽町の住人です。彼らは、飲食店などを経営していたのですが、奴らが来た途端、急に売り上げが上昇したのです。部下に調べさせたところ、奴らの領域の全ての店舗が奴らとの契約関係を結んでいます。多国籍企業は、タワーなどを買い取るもの。それを小さな店を契約するんなんて、おかしくありませんか?」

「確かにな」


 そして、長谷川は、最後の不自然な点を言った。


「そして、最後。ここ最近、燕尾服を着た集団が歩き回っています。現在、確認しているだけで、青、赤、緑、黄だけですが、徐々に人数が増えています。それも、奴らが来た時から」

「松岡」

「はい、5代目」

2が、そのような連中に襲われたと言ってな」

「ええ、それにが、何者かに襲われたと言ってました。特徴は、覚えてないと言ってました」

「5代目、頭。もしかしたら、その時の連中と妹さんらを襲った者と関係あるかもしれません。これは、対処すべきです。どうしますか? を呼びますか?」

「長谷川、そうしてくれ。どうやら、よりも厄介だぞ。お前ら、傘下の組織に連絡してくれ。「フェイルグループと燕尾服の連中を警戒せよ」と」

「「「分かりました」」」

「これにて、解散する!」


 幹部達は、警戒態勢を取るため、組事務所に向かう。


「これは、おもろなってきたで」


 そのうちの灰色のスーツを着た大柄の男が、部下に電話を掛ける。


「香川や。明日、社長さんらの面会の準備するで」

 




 




 

 

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