フェイル5 朱雀と対面
翌日、セレス達は取引先と交渉、契約をしに、千代田区へと4台の車で向かう。
それぞれ、後席に主であるセレス達と専属執事であるミクリオ達。そして、運転席と助手席には、騎士団員が座っており、車窓やタイヤなどは、防弾、防爆仕様になっている。
「セレス様、レベッカ様達と共に取引先の神田製薬との交渉が終わった後、傘下企業の視察。昼休憩を挟んで、東京国際ホールにて講演をしてもらいます」
「分かりました。ところで、下の2組は?」
「ライラ様達は、呑気に寝ておられます」
「まったく、困ったもんですね」
その頃、トリニティタワーの50階、日本本社の受付にて、大勢の男達がやってきた。
「ご用件は?」
「社長らに会いたくて来た龍神会の香川というもんやけど」
「セレス社長らは、外に出ておられます。帰ってくるのは、夕方頃になりますが。貴方、反社ですよね? お引き取りください」
「お前ら、聞いたか? 「反社はお引き取りください」やと」
部下と思われる男達は、香川の言葉を聞いて笑いだし、受付は、?マークしか浮かんで来なかった。
「何がおかしいのですか?」
「あんたは、違うの人間ようやな? それやったら、待たせてもらうでぇ?」
「ちょっと! 困ります!」
受付の制止を振り切り、社内に入り、堂々と歩くと、騎士団員達が、立ち塞がる。
「なんや? お前らは?」
「これより先は、行かせません! お引き取りください!」
「嫌やと言ったら?」
「おい! セレス様達と警察に連絡しろ!」
「ダメです! 繋がりません!」
「なんだと!?」
「うちの若頭は、ここには居らへんけどな、凄腕のハッカーで、会社の通信機能なんて、赤子の手をひねるよりも簡単や」
「おい、お前ら! 撃退しろ!」
騎士団員達は、戦闘態勢を取り、香川らは、面倒くさそうな表情で見た。
「しゃないか。お前ら、カタギ以外、失神させる程度でやったれや!」
時間が経ち、本社へ戻ったセレス達、中へ入ろうとすると、騎士団員達が、倒れている姿を目に入った。
「おい! しっかりしろ! 何があった!?」
「それが、龍神会に香川の連中が…」
「龍神会!? なんで?」
「それは、あんたらにお話しがあるんですわ」
声がした方向へ視線を向けると、香川組の組員が現れた!
「おい! あんたぁぁ! あたしらに喧嘩売ってるのかぁぁぁ!?」
「やめてください! レベッカ様」
「暴力は駄目です!」
イクスとルカがレベッカを落ち着かせると、笑いながら言った。
「そうですよ!? 世間様がいらっしゃるのですから、やめたほうがいいですよ?」
「貴方、お話とは何ですか?」
「おぉ! これは、天使級のライラはん! 相変わらず綺麗ですな! それは、香川の親父に聞いたほうが、早いですわ」
セレスとミクリオは、組員に接近して小声で言った。
「お前、もしくだらない話だったら、命では、償えませんよ?」
「これらをするほど大事な話だろうな?」
「もちろんですわ」
組員は、セレス達に居場所を伝える。
「親父は、94階の執務室でお待ちです」
「ちょっと! あたしらの仕事場じゃない!?」
「僕やミクリオ兄ちゃん達の所、汚してないよね?」
「それは、保証できません。親父は、破天荒なところがありますからね? 急いだほうが良いですよ? シェリーはん、シングはん」
エレベータに乗り、94階の執務室に着いたセレス達。だが、執務室は汚くなっていた。本が散乱、子供たちが、マーカーでお絵描き。さらに、ゴミが散乱していた。そして、セレスの席で食事をしている香川の姿があった。
香川は、察知しパスタに口をいれたまま言った。
「お? やっと来たか?」
「!」
セレスが、香川の手に持つをフォーク見て激怒する。
「おまえぇぇぇ! ミクリオがくれたフォークを穢れた手で使うなぁぁぁ!」
セレスは、杖を取り出して青いオーラを纏わせ、凍死の魔術を繰り出すが、あっさりかわされる。
「怖いで? セレスはん。そんなに、ミクリオはんが好きなんか? 素直やな」
「お前! 万死に値するということを教えてないといけませんかぁぁ?」
「はははは!」
セレスが、香川の胸倉を掴んでる時、ミクリオ達がお絵描きする子供たちを止める。
「君! ここは、お絵描きの場所じゃないよ!」
「ちょっと、やめて!」
「人の物でお絵描きしてはいけません!」
「君、机でお絵描きをしたら、駄目だよ!」
「ダメだよ! お絵描きしたら!」
イクス達が、優しく注意して止めさせるが、ミクリオとレベッカは、仁王立ちで、子供たちを冷たい視線で睨む。子供たちは、怯える。
「お前ら、お仕置きの時間だ」
「こんな事して良いと思ってるの?」
すると、そのうちの1人の子どもが泣き出し、香川によりつく。香川は、セレスの左手を振りほどき、優しく抱き着く。
「よしよし、怖かったね! あの黒髪の女が怖かったな!?」
「この野郎!」
レベッカは、歯ぎしりしながら言うと、セレスが睨みながら尋ねる。
「ところで、お前が香川ですか?」
「おっと、自己紹介忘れていたわ!」
香川は、セレス達に向けて自己紹介をする。
「俺は、龍神会直系香川組組長、香川雅也や。よろしくな!」
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