フェイル3 日本へ

 翌日の午前、フェイルグループ本社の大会議室にて、記者500名による記者会見が行われる。世界中に生中継され、父とセレスは、記者の質問に答え、ミクリオは、司会として務める。


「それでは、我が社の契約会社の死亡事故に関する記者会見を行います。質問がある方は、挙手でお願いします」

「はい」

「そちらの記者の方」

「ウィーク通信の者です。死者10名が出たましたが、それについてのコメントをお願いします」


 その質問に父が答える。


「大変残念に思います。鉄鋼業は、細心の注意が必要な業種です。下敷きになった方々の遺族に関しては、この会社の契約関係の我が社も出来る限り、賠償を行います」

「社長、警察らの家宅捜索では、書類などが少ないという不自然な点があるという見解があります。巷では、犯罪行為に関するものを隠していたのではという噂がりますが」

「それは、ありません」


 セレスが反論をする。


「毎日、視察に行くことは出来ませんが、定期的に観察の者ら、不正が無いか、確認をしています。そのような噂は、広まっていたのは、初めて知りましたが、彼らは、そのような卑怯者の集団ではありません。いや、むしろ信じたいのです。もし、噂が立証する物が出れば、こちらからは、厳しく対処します」

「しかし、この会社には、犯罪組織と繋がっているという噂も」

「どうせ、他の会社からの嫌がらせでしょ。この会社の成長ぶりに嫉妬して、けしからん噂でも流したのです。まったく、愚かな」

「なるほど、ありがとうございます」

「それでは、次に質問がある方、挙手をお願いします」


 その後も、1時間にわたる記者会見を終え、父との別れの挨拶をしたセレスとミクリオは、騎士団員達と共に、レベッカ達が待っているイギリス国際空港のプライベート飛行場の到着し、合流。

 セレス達は、プライベートジェットを乗り換えして2つの空港を経由。そして、最後の経由する空港から、日本へ向けてプライベートジェットが飛び出す。


 プライベートジェット機内では、セレス達8人と操縦士2人だけである。執事であるミクリオ達は、それぞれのセレス達の隣の席に座っていた。


「日本ね……あたしとセレス、そしてミクリオとイクスは、円海街。ライラ、ルカ、シェリー、シングは、千楽町で観光してたわね」

「セレス姉ちゃん。阿修羅会のお膝元は、どうだった?」

「あまり、ここに住む人の性格とは、苦手で困りましたが、個性あるグルメなどがあり、良かったですよ」

「そういえば、セレス様。我々が、串カツ屋で食事していた時、若者集団が来たのを覚えていますか?」

「あの集団ですか、もちろんです。特に、赤のツインテールの女が、喧嘩売ってきましたね。ミクリオが、注意しようとすると、チンピラみたいな男が、絡んできて、全く礼儀がなってない2人です」

「セレス様、あの人達は、悪気無くて言ってしまっただけですよ。そして、その仲間の男性2人が謝ったじゃないですか」


 イクスの言葉を聞いて、セレスは、ギロリと威圧感を出し睨みを利かせると、それ見たイクスは、怯え即座に目を反らし、千楽町の話題へと変える。


「ルカ、シング。ライラ様とシェリー様と一緒に来た、目的地の千楽町はどうなの?」

「半裸の連中が多かったな。龍神会のお膝元は、下品だよ。治安も悪いし、千楽署の連中は、やる気が無いし本当に下品以下だよ」

「ルカ兄ちゃん、覚えている? あの非礼な2人を制裁したのを」

「もちろんだよ。カジノで、非礼な発言をした2人ね。奴らは抵抗したけど、弱いね。動きは遅いし、隙だらけだし、話にならなかったよ」

「そうだね、本当に楽勝だしね、あの2人の苦しむ顔、凄かったな」

「出来れば、もっと痛めつけたいけど? アハハ!」

「ルカ、相変わらず絶好調ですね。貴方を専属執事にして良かったですわ」


 ルカが狂気の笑いをしているのをライラは称賛したが、操縦士2人は、ルカの表情を見て寒気が走る。

 すると、シェリーがこんな質問を出す。


「でもさ? 千楽町は、龍神会のお膝元だよね? 私達が、入ったら奴ら抵抗するんじゃない?」

「大丈夫ですよ、シェリー。実は、円海街もそうですが、実は、海外組織が幾つも入っているのです。表向きでは、企業とか、店などをやっていますが、潰せるなら潰せるのですが、カタギの問題もあり、龍神会は睨みを利かせるしか無いのですよ」

「ほー!」

「ということは、勢力を広げる大チャンスということね」

「そういうことです。龍神会の連中は、睨みをより利かせ警戒するでしょう」

「おい、お前。日本に着くのは、どのくらい掛かる?」

「あと2時間で到着予定です。ミクリオ執事」

「そうか」


 そして、2時間後、成田空港に到着。早速、別の機体に乗っていた騎士団員達と共に降りると、1週間前に到着した騎士団員達に案内され、目立たない車に乗り千楽町に向かった。果たして、千楽町で何が起きるのであろうか?


 オープニングチャプター 美しき薔薇騎士団 終


  

 

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