第6話行き先決定と説明

 紀世彦達がいる部屋は5人もいるのに会話が無く、少し重たい空気の中、机に突っ伏していたり、ソファで寝ていたりとそれぞれが個人で時間を潰していた。なぜこんな状況になってしまっているかというと、クリスが踏み込んだ質問をいろいろとしてしまったためである。その少し重い空気の中ドアが開く音がした。


「皆さんお待たせしました。といっても紀世彦さん以外は昨日のうちに案内は終わってるんですけどね。」


 そう言いながらメタトロンが入ってきた。その後ろにはサンダルフォンが手を掴まれた状態で入ってきた。静まり返っている様子を見て、メタトロンは若干はいるタイミングを間違えたと思いながらも話し始めた。


「あなた達に行ってもらう世界が決定しました!」


 メタトロン1人で拍手をするという、周りから見れば完全にすべった形となっているなか、めげずにメタトロンがそのまま話し続けている。


「決定した世界の名前は!エイピオス!!」


「いや、世界名言われても知らないし!」


 ここで紀世彦のツッコミがはいった。


「まぁ、そうですよね。この世界について少し説明させていただきますね!」


 そう言うと、どこからともなくメガネをとりだし、かけた。


「まずエイピオスにはまだこれといって崩壊する原因はありません。ですが、近いうちに魔王が誕生すると神託が届いております。」


「神託とかってなんか嘘くさく感じるよな」


 そう言ったのはクリスだった。メタトロンはクリスを横目に話を続けた。


「多分クリスさんや他の方が思っているような神託とは違うかもしれないですね。確かに神様からお告げをいただいておりますが、堅苦しい感じではなく、メールで時期にこういうことが起きるよといった感じの、頭の片隅にでも置いておいてねって感じのものですし。」


 それを聞いた紀世彦達は神様がメールで知らせているのかとちょっと驚いていた。


「それでは話を戻しますね。みなさんにはエイピオスに行っていただき、個々のステータスアップをしてもらいたいのです。そして、魔王が誕生したら倒してください。こちらの準備もありますので、出発は明後日になります。」


「説明してくれるのはありがたいが、大元の事を詳しく聞かされていないのだが?」


 そう言い出したのは紀世彦だった。


「大元の事??」


「そうだ、邪神や堕天使の事は聞いたが、その邪神が誰なのかだとか堕天したやつは今どこにいるだとかそういう話をしてくれてもいいんじゃないのか?」


「あー、確かにその辺のことは何も言ってなかったですね。このことに関して詳しいのはサンちゃんなので、サンちゃんお願いしていい??」


 そう言って後ろにいたサンダルフォンに言葉をかけた。


「わかった。まず、邪神の名前はベルゼブブ、堕天使達の行方は捜索中。ベルゼブブがルシファーを堕天させた事によりルシファーの部下達もそちらにわまったと考えられます。なお、現在ルシファーは自分のことをサタンと名乗っているそうです。」


「ベルゼブブってハエの姿をしたやつだったよな?そんな見た目のやつに言いくるめられたのか知らないがよく堕天したな。」


 クリスが少し煽るような感じで言ったのを聞き、サンダルフォンはイラつきを見せながらクリスを睨んだ。


「ルシファーさんはきっと呪いか何かをかけられたんです。じゃなきゃ堕天なんてしないはずです!」


「すまなかったよ、言い過ぎた。」


 サンダルフォンが怒鳴るように言ったのでクリスも言い過ぎたと思い謝罪した。そして、少しの静寂の後、紀世彦が切り出した。


「そもそも、世界の均衡を保たないといけない理由は何だ?」


「そうですね、あなた達には言っておかなければならないですね。世界の均衡を保つ、すなわち世界を破壊させない事により、その世界から生命エネルギーが放出されます。その生命エネルギーを養分とし活動しているのがこの世界の核、すなわち生命の樹セフィロトなのです。」


 そう言ったのはメタトロンだった。

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