第3話ステータス

「まぁ、やるのはかまわないのだが俺の記憶が正しければ、俺は戦闘など皆無のただの一般市民だったはずだが?」


「こちらで1つだけですが能力を極大アップさせることが可能です。その能力はあなたが選んでもらってかまいません」


「極大アップということは、ゲームでいうところのチート級ってことか?」


「そう思ってもらって構いません。他の能力に関してですが、あなたの努力次第で成長度合いが変わります。それとあなたがいうゲームのようにステータスやマップなども確認できる機能もあります。」


「どうやって確認する?」


「こちらは能力の極大アップをした後に確認可能です。なのでさっそく能力を上げちゃいましょう!!」


 そう言ってにっこり笑顔でいろんな種類の能力が書かれた紙を渡してきた。そこにはものすごい量の数が書かれていた。


  ・HP

  ・MP

  ・GP

  ・スタミナ

  ・健康力

  ・力

  ・守り …その他もろもろ(多すぎるので以下略)


 ゲームでお馴染みの能力から見たことのない能力があった。


「質問いいか?HPやらMP、力などはわかるのだが、GPや健康力など見たことのない能力があるのだが…」


「GPは技能ポイントです。MPは魔力を使った時に消費するのですが、GPは技能!つまり技を使った時に消費します。健康力は高ければ病気にかかりにくくなります。」


「少し考えさせてくれ」


「そうですね、1日ぐらいなら考える時間があると…」


 途中で喋ることをやめた天使は、手を耳に当ててどこか遠くを見る感じで上の空状態になった。


「急にどうした?」


 急に変な行動をし始めたので聞いてみたが、まるでこちらの言葉ば届いていないと言った感じでスルーされてしまった。なのでおとなしく少し待っていたら、我にかえったのか喋り始めた。


「先程先輩から連絡がありまして、あなたの能力の極大アップは3つまで上げていいとのことです。」


「なんでまた急に?まぁ、上げられる個数が増えるのはありがたいが」


「なんでも、通常の場合神からの制約に従い1つだけらしいのですが、今回は堕天や闇落ちしてしまった者との戦闘になる可能性が高いということなので、既にステータスが上がっている者と鉢合わせた場合少しでも勝てるようにとのことです。」


「それでも3つなんだな」


「本当は1つでも体や魂にかかる負荷が尋常じゃなく、天使の加護によって負担を軽減しています。ですが今回は神のご加護を授けるらしく、3つまでは耐えられるようになっているようです。」


「なるほど、3つなら絞り込みも楽になるな。」


 そう言いながら能力表を確認している。あらかた目星をつけ終わったのを見計らってか天使から声がかかった。


「お決まりになられた感じの顔をしてますね!」


 そんなに顔に出てたのかと思いながら絞り込んだ能力を伝えた。


「あぁ、決まった。HP、スタミナ、記憶力だ」


「……あれ??力や守り、速さは選ばないのですか??」


「その辺を選んだ場合たしかに楽にいろんな事ができるかもしれないが、そのせいで努力を怠る可能性が出てくる。ならば努力をする前提で考えた場合スタミナや記憶力をチート級にしてもらった方がいいと思ったのだ。」


「ならなぜHPも選択されたのですか??」


「HPがある以上死ぬ可能性があるって事だろ?なら死なないようにチート級にしてもらった方が少し無茶しても大丈夫ってことだ。」


「なるほど、少しはちゃんと考えておられるのですね!」


 なんかバカにされされた感じでいわれてイラつきを覚えながら、早く話を進めてくれという感じで睨みつける。


「3つ決まりましたので、さっそくアップさせていきましょうか!」


 そういうと地面に魔法陣のようなものが浮かび上がってきた。その魔法陣は自分を中心としてどんどん収束していきやがて消えた。


「これでHP、スタミナ、記憶力の能力アップが完了しました。」


「実感わかないな」


「なら、ステータスの確認をしてみたらどうでしょうか??人差し指と親指を使って物をつまむような形にした後、それを広げるような動作をしていただければ色々な表示、言ってしまえばメニューがでてくると思います。」


 言われた通りにしてみると一瞬でメニューが現れた。自分の視界を移動させてもブレることなくついてくるので、これは酔ってしまう人もいるのではないかと思ってしまった。そのメニューの仕様としては、左上に赤、青、緑のバーが存在しており、それらがHP、MP、GPらしい。バーの少し下あたりにアイテムボックス、ステータス、パーティー、マップ、ヘルプと書いてあった。そしてふと天使の方に目をやると、天使の上あたりにLv.- メタトロンと書かれていた。そこで初めて天使の名前が判明した。


「名前、メタトロンっていうのか…」


「ん??はい、そうですよ。羽崎 紀世彦(はざき きよひこ)さん!」


「ここに呼び出したとなれば名前くらい知ってて当然か」


 そう言いながら自分のステータスを確認し始める。


  HP:3141592

  MP:27

  GP:64

  スタミナ:387946

  記憶力:82324

  健康力:576

  集中力:294

  力:157

  守り:128

  技能力:133 …


 確かに選んだ3つの能力は桁違いだった。けど、思っていたよりも他の能力が高くて疑問に思ってしまった。


  「このステータス、なんか割と高めじゃないか?」


 そう言われてメタトロンも確認し始めた。


  「確かに、Lv.1にしては高いですね。ですが、生きていた頃にやっていたことなどが多少反映されるので、その結果こうなのだと思いますよ??」


 そんなもんなのかと思いメニューを閉じた。

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