第2話 怪しい二人組と猫獣人
ここは綾川家近くの小さな公園である。ベンチに腰掛けた二人組は、スマホを眺めながらなにやら相談してた。
「使えんな」
「ああ。所詮素人だ。元チーマーだか何だか知らんが、半グレ程度では歯が立たない」
「まあな。あのトラントロワ型は対人戦闘用だからな。一個小隊なら数分で殲滅する能力がある」
「ならばどう攻略するんだ?」
「少し待て、明継。今考えている」
この二人は、以前からJK三人組にちょっかいをかけている
「見つけた」
「殿下。ミミズに間違いありません」
猫耳を立てている二人組が明継とアール・ハリに近づいてくる。二人共仕立ての良い背広を着こんでいるが、一人は大柄で筋肉質、一人は小柄で華奢な体形だった。
「誰だ。お前たちは」
ベンチから立ち上がった明継が問う。
「アキュラ。そのゴミを処分しろ」
「御意」
明継の問いを無視した小柄な猫耳男。その命に従い、アキュラと呼ばれた大柄な猫耳男が明継にボディブローを放つ。明継は苦悶の表情を浮かべながら地面に倒れた。そして、間髪入れずアール・ハリへと回し蹴りを放つ。蹴りを受けると同時にアール・ハリの姿は環形動物の集合体へと変化した。幾多の環形動物がアキュラへとまとわりつく。アキュラはにやりと笑って手元のリモコンスイッチを押した。
アキュラの全身は眩く発光し、周囲に稲妻を放つ。感電した環形動物は痙攣しながらアキュラの体から離れていった。
地面でのたうち回る環形動物の群れに、小柄な猫耳男が何かの液体を振りまいた。そしてマッチの火をつける。
ボン! と音を立て、環形動物は燃え上がる。幾多の環形動物が重なり合い絡み合って悶える姿は、まるで断末魔の悲鳴を上げているかのようだった。
「ふん。姫の行く先にお前のような化け物がうろついているなど言語道断だ。死ね」
小柄な猫耳男はニヤニヤ笑いながらくるりと背を向けた。
「アキュラ。大事はないか」
「はい殿下。ちと痺れましたが問題ございません」
「貴様は頑丈だな。頼もしいぞ」
「ありがとうございます。殿下」
「では姫の元へ参ろう」
「はっ!」
二人の猫耳男はそのまま綾川家へと向かった。
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