第16話 国際関係とコニーの事情

「あの、素手で人型機動兵器ロボを破壊するというゲテモノ皇女の従姉なのか」


 アルブレヒトは、アール・ハリの問いに笑顔で頷いていた。


「ええそうです。かなり高貴な身分ですね。でも、私は断った。そんな化け物と結婚などできません。それでもまあ巨乳であれば検討の余地はあったのですが、あの洗濯板ではねえ。食指は動きません」

「その気持ちは分かるぞ」

「ふふ。気が合うな」


 明継とアルブレヒトが頷きあう。


「それで、帝国とは険悪になったのか?」


 胸元の事にしか興味がない明継とは対照的に、アール・ハリは国家間の関係性について関心があったようだ。


「何だアール・ハリ。そこが気になるのか?」

「ああそうだ。ファルヴェードの事など眼中には無かったが、帝国が関与しているならば見逃せないからな」

「君はレーザ星系連盟の人物だったな。帝国は我々を連合に引き入れようと画策している。しかし、曖昧な返事でお茶を濁しているのが現状だ」

「それで政略結婚が画策されたのか?」

「そういう事だ。我々は帝国の支配下に甘んずることはできないからな。しかし、援助は欲しい。我が惑星国家も貪欲なのだ。その駆け引きに巻き込まれたのがコニーなのさ」


 アルブレヒトの話を聞き、しきりに頷いている明継だった。


「それは何だか気の毒な話だな。政略結婚とは……」

「そうだな。お気の毒だ。おかげで私が恨まれることになったが致し方ない」

「それで平気なのか? アルブレヒト」

「私が洗濯板を気に入らなかったことにしておけばいい。国家間の愚策に翻弄された事を彼女は知らなくていいのだ……」


 いつの間にかその席の傍には、顔を赤く染め腕組みをしているコニーがいた。


「あんた、何勝手に喋ってるのよ。しかも、敵対勢力のミミズ野郎に」

「コ、コニー。聞いていたのか?」

「じゃないわよ全く。丸聞こえだわ!」


 奥の方からJK三人組も顔を出してきた。


「私達も聞いていました」

「コニーちゃんがアルマ帝国の貴族ですって?」

「ロボットとか光剣とか、私たちに融通してくれた黒幕だったって事かな?」


 波里、星子、知子の三人が順に声をかける。


「それは秘密です」

「そういう事にしとくね。コニー」


 言いにくそうなコニーに対し、知子は笑顔で頷いていた。


「ありがとう。知子ちゃん。ところでアルブレヒト。さっきの洗濯板って何の事!?」


 険しい表情のコニーが、アルブレヒトを睨みつけていた。

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