第17話 おっぱい星人を殲滅せよ
「だからね、コニー。君は私の巨乳趣味に合わない洗濯板だと言っているのだよ。それでもララ皇女と比較すれば胸の膨らみは豊かだよね。オメデトウ」
「ぐぬぬ。この半獣人め。好き勝手言いやがって」
「それも現状を表現しているだけであって将来性は買っているのだよ」
「将来性?」
「ああそうだ」
アルブレヒトの言葉が理解できないのか、コニーはきょとんとしていた。
「君も知っているだろう。アルマ帝国の皇族方は胸元が豊かなのだ。君の母上ノア様やララ皇女の母上ルナ皇妃殿下は、共にバストサイズが100を超える爆乳だ。君が将来、どんな爆乳に育つのか興味深々って事さ」
「そこまで知っていて何故?」
「さっきも言ったはずだ。私が馬鹿王子を演じてれば事は丸く収まるのだと」
バチーン!
コニーのビンタがアルブレヒトの左頬を叩いた。
「痛いぞ、コニー」
「私は知りません。仕事に戻ります」
さすがのアルブレヒトも、その痛みに耐えかねて両目には涙を浮かべていた。
「アルブレヒト。コニーの可愛らしい手形がハッキリと……」
「左頬の腫れ方が尋常ではない。病院に行くか?」
明継とアール・ハリが心配そうに声をかける。
「平気だ……と思いたい。この程度で済んでラッキーなのだ。最悪、心臓を握り潰される」
「そうなのか」
「ああ」
胸ポケットから取り出したハンカチで涙を拭きながらアルブレヒトが返事をした。彼の左頬は真っ赤に腫れあがっている。
「ところでコニーの体についてなのだが」
「貧乳だ」
「そうではなくて、アレで生身なのか。ララ皇女と同じ能力者と断定していいのか」
アール・ハリの質問に左頬をさすりながらアルブレヒトが応える。
「疑う余地はない。自動人形でもなければサイボーグでもない。そのうち100越えの爆乳に成長するはずだから期待しておけ」
「ああ、超絶期待するよ」
明継が瞳を輝かせながら頷いていた。
「明継。お前は馬鹿か? 我々の前途を邪魔する難敵が現れたのだぞ」
「いいじゃないか、アール・ハリ。私は爆乳なら何でも許せる。たとえ親の仇であってもな」
「……勝手にしろ。明継」
「勝手に妄想させていただく。ムフフ」
「結局、要注意人物としてコニーの調査をしろという指令が、何故か謎の能力を調査しろと誤変換されたようだ」
「誤変換?」
「暗号文を平文に変換する翻訳機がな、アルバイトでやる気がないのだよ」
「そんな重要な部署にアルバイトを雇っているのか? いや。突っ込むところはそこじゃない。翻訳機がアルバイトって何の事なんだ?」
「まあ、翻訳ロボを雇っているのだが予算の関係でな。時給450円しか出せないのだ」
「今時、時給450円なんてありえないだろう。いや、ロボが時給でごねる方が問題じゃないのか?」
「仕方がない。ロボにも人権はあるのだ。それが嫌ならもっと金を出せ。貴様の王国の予算次第だ」
「そ……そうだったな。情けなくて涙が出る」
かくて、アール・ハリと明継の調査は終了した。コニーの正体はアルマ帝国の貴族で、帝国最高戦力として名高いララ皇女の
こうして再び、地球の平和は守られたようだ。
[おしまい]
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