第14話 コニーの秘密

 カフェ〝シャーマン・ファイアフライ〟を出た明継とアール・ハリは、歩きながら話し合っていた。


「なあ、アール・ハリ」

「何だ。明継」

「コニーちゃんの画像なんだが、まるっきり普通の人間だよな」

「画像を見る限りはそうだ。しかし、肉体の内部構造や組成に関しては妨害されていてデータを取得できなかった」

「つまり、サイボーグなのか異星人なのか分からないって事か?」

「そうだな」

「全て作り物のアンドロイドかもしれないと」

「その可能性も否定できない。アルマ帝国には人間そっくりな自動人形が存在するし、生身でロボット兵器を破壊する能力者も存在する」

「ロボット兵器を破壊するだと?」

「ああそうだ。10メートル級のロボをな」

「信じられん」

「まあな。あの忌まわしいアルマ帝国の親衛隊長、ララ皇女などがその最たる例だ」

「ララ皇女? 皇女? という事は女性で……巨乳なのか?」

「ツルペタの極貧乳だ。コニーの胸元の方がまだ豊かだよ」

「コニーよりも貧乳!? 想像できないよ」

「馬鹿だな。毛の生えていない小学生と同じだ」

「小学生……興味はない」

「待て。ララ皇女は重要だ。コニーの戦闘力はララ皇女に匹敵すると思う。ララ皇女は小柄で金髪。コニーも同じだ」

「つまり、コニーはそのアルマ帝国のララ皇女と何か関係がると」

「その可能性は高いと思うぞ」

「そうなのか?」

「そうだ。お前の王国に侵攻してきたロボットがあるだろう。あれはアルマ帝国から供与されたものだ。ならば、コニーがその関係者である事は最初に疑うべきだった」

「納得した」


 二人は河川敷を歩いている。


 犬の散歩をしている人、ジョギングをしている人、ベビーカーを押している妊婦など様々な人が二人のそばを通り抜けるのだが、皆、一様に眉間に皺をよせ、目を合わさないようにしていた。女装男子と冬服に身を包んだ男はやはり異様な存在なのだろう。


「なあ、アール・ハリ」

「何だ、明継」

「コニーの正体は謎。しかし、アルマ帝国に関する何かであると」

「そうだ。その可能性が高い」

「では、あのアルブレヒトとの関係は何なんだ? 何だか仲が悪そうな感じなのだが」

「そのようだな。コニーとアルブレヒトとの関係はかなり悪そうだ」

「実態を掴んでいないのか」

「まあな」

「で、どうするんだ?」

「高みの見物と行こうじゃないか」

「見物?」

「そうだ。奴の故郷は惑星国家ファルヴェードだ」

「ああ、そんな話をしていたな」

「そこはな、我らがレーザ星を中心としたレーザ星系連盟には属していないし、アルマ帝国中心のアルマ星間連合にも属していない」

「そうなのか」

「ああそうだ。このまま監視を続けることで何か掴めるかもしれない」

「謎の惑星国家ファルヴェードか……」

「そういう事だ。アルマ帝国と険悪な関係ならば、我ら連盟に引き入れることができる」

「それは貴様の手柄になるのか?」

「勿論だよ。君は異世界人だから、この係争に関与しても得るものは無いと思うぞ」

「分かった。僕は星子ちゃんに注視するよ……」


 日が傾きつつある河川敷の道を、二人は歩いている。多くの人に不審がられながら。しかし、二人は話に夢中でその事に気づいていなかった。


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