第13話 変態を追い返せ

 明継とアール・ハリは、尚もテーブルでこそこそと話し合っていた。


「コニーの強さに関してだが、私は当初、サイボーグではないかと思っていた」

「そうだったな」

「しかし、宇宙人であれば話は別だ」

「どういう事?」

「例えば、我らが所属するレーザ星系連盟には爬虫類型の強靭な生物が存在する。見た目を光学仮装オブジェクトでカモフラージュすれば分からない」

「光学仮装オブジェクト?」

「ああそうだ。例えば私だな。どこから見ても人間に見えるだろうが、実際はミミズの集合体だ」

「そ、そうだったな。じゃあ、コニーはあの華奢な見た目ではなく、中身は爬虫類型の人間って事か?」

「可能性の話をしている……これは!?」

「どうした」

「コニーのデータが取得できない」

「何だって」

「妨害されている」

「妨害って誰が」

「コニー自身か、もしくは誰かがサポートしているか」

「サポートってあの問題児三人組がか?」

「それは無い。何か高度な技術的なものか、もしくはアルマ帝国の法術使いがいる」

「それこそ信じられない話だ」

「しかし、この状況は危険だ。早々に撤退する」

「分かったよ。アール・ハリ」


 支払いを済ませた明継とアール・ハリは店を出て行った。


「ありがとうございました」

「ありがとー」


 波里と星子が二人を見送った。現金なもので、厄介者が帰るときは笑顔で手を振っている。


「やっと帰ったわね」

「でも、コニーちゃんとアルブレヒトはまだにらみ合ってる」

「ちょっと迷惑かな?」

「どうするの、波里ちゃん」

「アルブレヒトを追い出しましょ」

「大丈夫かな」

「大丈夫よ」


 バコン!


 波里が丸い金属製のトレーでアルブレヒトの頭を叩いた。


「何だお前たちは!?」

「変態おっぱい星人は出て行け」

「客に向かって何て言い分なんだ!?」

「知らない。変態は消毒します」


 波里はアルコールのスプレーを抱え、シュッシュッとアルブレヒトに噴霧していた。


「いや待て、話し合おう」

「問答無用、出て行かないと切り刻むよ」


 今度は知子が光剣の柄をちらつかせながら凄む。


「仕方がない。今日の所は退散するよ。星子ちゃん、またね」

「もう来なくていいわ」

「変態!」

「じゃあ」


 波里と知子のつっけんどんな接客にも笑顔を絶やさないアルブレヒトは素直に退散していった。


「やっと出て行った」

「コニーちゃん大丈夫?」

「相当仲が悪そうね」


 星子と波里、知子の三人がコニーの傍へと集まる。


「アルブレヒトとどういう関係なの?」

「話したくなかったら話さなくていいよ」

「でも、あの変態には腹立つよ」


 三人の言葉に頷きつつも、コニーは首を振っている。


「ごめんね。今は話せないんだ……」


 俯くコニー。


 アルブレヒトと何かの確執がある事は確実。しかし、それが何なのかコニーは決して話さなかった。

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