謎の王子様

第10話 カフェでバイトの四人組

 アメリカから帰って来たコニーはカフェでバイトを始めた。バイト先は、例の私立竜王学園付近にあるミリタリー系カフェ〝シャーマン・ファイアフライ〟である。知子、星子、波里の三人も一緒にバイトに入ることになった。


「この制服に合うかな?」

「コニーちゃん。物凄く似合っているよ」

「星子ちゃんも似合ってる。可愛いよ」

「そうかな? 恥ずかしいよ」

「羽里ちゃんも、知子ちゃんも素敵だよ」


 仕事もせずおしゃべりに夢中になっているのだが、店長はというとその様子をデレデレと眺めるだけで叱ろうとはしない。


「えへへ。似合ってるよね」

「羽里、調子に乗るな。仕事だ仕事」

「分かってるって。でも、知子ちゃんの脚って、綺麗だよね」

「ななな何を言ってるんだ。馬鹿羽里。私の脚なんか何の価値もないぞ」

「いえいえ。その美脚は天然記念物級です」

「ウルサイ。触ったら切り刻む」


 知子はスカートをめくり、太ももにぶら下げている光剣を見せる。


「知子ちゃんが怒った」


 知子の剣幕に波里が黙ってしまう。しかし、星子はしゃべり続ける。


「でもさ、スカートをまくったそのポーズがカッコいいんだよね。私の脚じゃ桜島大根だからみっともないんだよ」

「え? 星子ちゃんその桜島何とかって?」


 星子の言葉にコニーが質問した。星子は少し頬を膨らましながらその問いに答えた。


「日本じゃあね、太い脚の事を大根足って言うの」

「じゃあ桜島は?」

「数ある大根の中でも一番ぶっといのが桜島大根って言われてるんだ」

「あははは。でも、私は星子ちゃんのそのふっくらした感じが大好きだよ」


 キャッキャウフフと盛り上がっているJK四名を店の外から伺う怪しい二人組がいた。それは政宗明継とアール・ハリ・アルゴルだった。


「相変わらず盛り上がっているな」

「確かに。自分もあの輪の中に入りたい」

「迎合してどうするのだ」

「スマンな。ところでアール・ハリ。この格好は何なんだ」

「変装に決まっているだろう」

「変装? それは疑問に思うぞ」

「何処がだ。立派な変装ではないか」

「まず、お前の格好が目立つ。もう初夏だというのに冬用の厚ぼったい帽子を被っているし、コートも不自然だ」

「これは仕方がない。例の万能透視装置、AOFDALL OBJECT FLUOROSCOPE DEVICEを仕込んだ帽子を被っているからな。それの動力と記憶領域をコートに仕込んでいる。文句を言うな」

「そんなに小型化できたのか。季節感が狂っている以外は自然じゃないか」

「我々アルゴル族の技術力を舐めるなよ」

「分かったよ、アール・ハリ。しかしだな」

「何だ?」

「何故、私がセーラー服なんだ」


 半袖の白いセーラー服を着せられた明継は、不満たらたらでアール・ハリに詰め寄っていた。


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