第8話 ミミズ偵察は倫理的な問題があるらしい
ここは竜王学園の近所、そのとある路上である。明継とアール・ハリはまだ喋り続けていた。
「ところで、星子ちゃんの裸ってどんなだろうね。アール・ハリも妄想してるんだよね」
「いや、そんな妄想などしたことはないぞ。実際に見たことがあるから、その記憶を頼りに再現してやる。まあ、そこそこ精密な画像が作れると思うよ」
「見た? 見ただと!?」
「ああそうだが」
「どうして見えたんだ?」
「なあ明継。私の体がミミズのような環形動物で構成されているのは知っているだろう」
「そうだったな」
「私はそのミミズの一部を使って情報収集をしているのだ。大体何処にでも潜り込める」
「まさか、女子更衣室にも!?」
「そうだが」
「許さん」
「落ち着け、明継。女子更衣室にミミズが紛れ込んでも違法ではないし、たとえ見つかったとしてもミミズとして処分されるだけだ。経験上、ゴキブリやムカデと違って特に騒がれる事はなかった。何の問題も無いではないか」
「ある。それは間違いなく覗き行為だ」
「覗いていたのはミミズだ。私では無いぞ」
「ミミズはお前だ。アール・ハリ」
「羨ましいからと言って屁理屈を言うな。私にはお前の様な性欲というものが無いのだから」
「黙れ黙れ。乙女の純情を汚す奴は許せん!」
「落ち着け。さっきは例の透視装置で覗く気満々だったではないか」
「ぐっ。それはそれ、これはこれだ。もう頭にきた。君に塩をぶっかける」
「待て明継。塩は不味い。浸透圧の関係で水分が吸い取られて干からびてしまうじゃないか」
「問答無用。赤穂の粗塩でも食らいやがれ!」
「伯方の塩の方がいい」
「何でも一緒だぁ!」
揉みあう明継とアール・ハリだったが、そこへ三人組のJKが現れた。ここは星子たちの通学路なのだ。今から下校するところらしい。
「何喧嘩してんだ?」
二人に声をかけたのは綾川知子だった。
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