異星人から地球を守れ
第7話 AOFD(ALL OBJECT FLUOROSCOPE DEVICE)
知子たちが通う私立竜王学園。その付近の路上に、怪しい二人組がたむろしていた。
「おい。アール・ハリ。その大仰なヘルメットは何だ?」
「これか? これは
「日本語で頼む。横文字は苦手なんだ」
「しょうがない奴だな。要するに万能透視装置だよ。X線、ミリ波、ミューオン観測を複合した透視装置だ」
「X線は知っているが、他のは聞いたことが無いな」
「ふふふ。明継よ。我がアルゴル族の卓越した技術力を見よ」
「意味わかんねえよ。それで何を透視するんだ?」
「分からないか? X線もミリ波もミューオン粒子も、物質を通過する性質を持っている。この装置を使えば、全ての物質、建造物、機械類などの内部構造を透視して読み取ることができるのさ」
「なあアール・ハリ。全ての物とは、動物でも機械でもって事なのか?」
「そうだ。例えば、自動車ならエンジンの構造から車体の構成、部品の組成に至るまで全て読み取ることができる」
「す、凄いなそれは。じゃあ人間に使ったらどうなるんだ?」
「人間か? 人間に使うなら骨格や内臓の状態、筋肉や血管、血液の流れや皮下脂肪内臓脂肪まで全て晒すことができる」
「例えば、衣類だけ透視する事も?」
「勿論可能だ。これを使えばどんなヌード写真も撮り放題になるぞ」
「ぐふ。ぐふふふふ。これで星子ちゃんの裸が見放題……」
「おい、明継。妄想が駄々洩れになっているぞ」
「じゅるり。スマン」
「こんなもので女子の裸体を透視しても、何の意味もないのではないか」
「そんな事は無いだろう。見ることができないものに対する探究心は、人類の進歩発展にとって、偉大な原動力であるのだ」
「この馬鹿者。スケベ心を屁理屈で正当化するんじゃない」
「う。つっこみが鋭いぞ」
「当たり前だ」
「なあ、アール・ハリ。他の女子はいいから、星子ちゃんだけお願いできないかな?」
「やはりそう来たか。そんな事にこの高価な装置を使用する許可は出せん。後でコラ画像を作ってやるからそれで我慢しろ」
「コラ画像?」
「まあアレだ。体形の似ているAV女優の顔を星子と差し替えるだけだ」
「そ、そんな物で満足できるわけがないだろう。星子ちゃんは処女だぞ」
「人間が何故そのような処女性にこだわるのか意味不明だな。じゃあ星子の写真から想定される裸体をCGで再現してやる」
「出来るのか?」
「多分な」
「お願いする。アール・ハリ。いくら感謝しても足りないくらいだ」
「ふっ」
アール・ハリはつまらなそうにため息をつく。しかし明継は、頬を赤く染めデレデレと涎を垂らさんばかりに呆けた顔をしていた。
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