第2話 コニーちゃんと三人のJK

「ねえねえ知子ちゃん。あのバイトの子、ちょっとキモイよね」

「まあ、そうだな。しかしな星子。何でも思った事をずけずけと言うもんじゃないぞ。相手に失礼だ」


 鈍感だと有名な黒田星子であったが、あの、アルバイトのウェイトレス二人組の異様さにようやく気付いたようだ。


「でもさ、星子の言う事ももっともだよ。あれ、青白くて本当にキモイよ。まるでうちのクラスのアール・ハリみたい」

「そうだね。波里ちゃんの言う通りだよ。となりのでっかい女の人も何だか不気味」


 星子の言葉に皆が頷く。


「アレがオカマなのかな?」

「そうかもね。星子ちゃん」

「波里の言う通りだ。一見美人なんだが、かなり不自然だ」

「でしょでしょ、知子ちゃん」

「あんなに胸があるのに男の人なの?」

「何言ってんのコニーちゃん。あれは何か詰めてるのよ」

「そうそう、羽里ちゃんの言うとおりだよ。アレは絶対ぺったんこのまな板」

「星子ちゃん。まな板って……その一言は傷つきます」

「え?」


 星子のまな板発言で、コニーの表情が突然暗くなる。


「やだなコニーちゃん。そこのオカマっぽい人の事だよ。コニーちゃんじゃないよ」

「羽里さん分かっています。でも、その一言が胸に刺さるんです」

「ごめんね。もう言わないから。お口直しに、星子の胸にタァーッチ!!」


 波里が星子の胸を触る。星子は相変わらず本気で嫌がっておらず、その体をくねくねと揺らすのだが、それに連動して豊かな胸も揺れる。それを見つめる波里が更に悪乗りして星子の胸にタッチする。


「嫌だ~やめてよ」

「ほらほら、コニーちゃんも遠慮しちゃだめだよ」

「じゃあちょっとだけ」

「もうくすぐったい。やめてぇ~」


 コニーも遠慮がちだが星子の胸を人差し指でちょんちょんとつつく。それに嫌がる素振りも見せず、星子は身をくねらせるだけだ。


「いい加減にせんか。この馬鹿者ども!」

「うわー! 知子ちゃんが怒った!!」


 騒がしくなった時点で知子の堪忍袋の緒が切れた。彼女は店員の白い目も気になっていたのだろう。


「お前らのやってることは公共の福祉に反するんだ。憲法違反なんだぞ」

「憲法違反?」

「分かった。戦力の不保持です。お触り禁止の九条でしょう」

「それは基本的人権の話だ」

「意味わかんないよ」

「きゃは!」


 相変わらずキャッキャウフフと騒がしい彼女達を見つめる明継とアール・ハリだった。彼らは割り当てられた仕事をこなし、ホールに戻ってきていた。


「明継。あの馬鹿共は何を言ってるんだ?」

「今日の授業で習った単語を使って遊んでいるようですね。意味は全く理解していないようで……」

「お前たちはあんな阿呆にしてやられたのか?」

「それが現実なのです」

「明継……」


 がっくりとうなだれる明継。アール・ハリは明継の背をポンポンと叩き、彼を慰めていた。

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