第13話 終焉の時

「今だ。氷塊を吹き飛ばせ」

『了解。重力波を放出します』


 セイバーの全身から眩い紫電が発せられ、体を覆っていた氷塊を全て吹き飛ばした。


「明継の所まで飛べ!」

『了解』


 明継と春彦は約3キロメートル離れた地点にいた。セイバーはジャンプして一気にその場へと飛ぶ。着地したセイバーは、明継と春彦に向け剣を突き付けた。しかし、二人とも何やら小動物と口論をしていた。


 その小動物とは、小さいトカゲと小鳥、そしてハムスターだった。


「あんな強いとは聞いてませんって。火傷したがな」

「追加料金と慰謝料を貰らわな合いませんなぁ。この傷どないしてくれるんや」

「そやで。休業補償もな。全く何であんな強い奴と戦わせるんや。地獄を見たわ」


 三匹の小動物が盛んに文句を言っている。一体は約20センチメートルのニホントカゲ。黒い体色に金色のラインが美しい小柄なトカゲだ。

 白い小鳥はハクセキレイ。スズメとそう変わらない大きさだが、白い体色に黒色の模様が美しい。

 そして三毛猫のようなまだら模様のゴールデンハムスターだ。


 セイバーに剣を突き付けられ、三匹の小動物は草陰に散っていく。明継と春彦は両手を上げ、降参の意を示していた。


 そこへガラガラと轟音を立てながら三式戦車が走ってきた。砲塔の上にはトリニティが立っていたし、ミノリン先生は砲塔のハッチを開いて、車載機銃を構えていた。


「私たちの負けです。敗北を認めます」


 明継が敗北宣言をした。ミノリン先生は戦車から降りて二人の前に立つ。そして腰のホルスターから拳銃を抜いて構えた。


「待って。撃たないで」

「分かっている。勝負はこっちの勝ちだ」

「もちろんです」

「しかし、お前は約束を破った。一対一の勝負だと言いながら二体の魔物で同時に攻撃を仕掛けてきたな」

「はい……」

「ペナルティだな。どう償う?」


 明継が晴彦の背を押す。春彦は戸惑いながらも明継を見つめるのだが、明継はそれを無視した。


「こいつを奴隷として差し出す。ただし期間は二年間だ」

「つまり、学園を卒業するまでと」

「そういう事だ」

「では私が奴隷としてこき使ってやる」


 ミノリン先生のその一言に夕凪は頬を赤らめた。

 その表情で理解した。マジかよ。あの、春彦はミノリン先生にぞっこんだったのか。しかも、奴隷にされて喜ぶマゾヒズム属性だと?


「それで結構だ。次に戦後処理の話をしよう。先ず異次元に転移させた学園と人員についてだ」

「うむ」


 明継とミノリン先生の間で話し合いが行われている。二人はしばらく話し合っていたが、特に問題なく決着はついたようだ。

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