第3話 一歩前へ

 ララとシュシュが待機している会議室。

 そこへまた例の封筒が届いた。ララとシュシュ宛てである。


「また謎の封筒が届いた」

「ララ様、見せてください?」


 中にあったカードには大きく『一歩前へ』と書かれていた。


「これは……シュシュ姫。一般論では、前向きな姿勢を意味すると思うのだが……」

「そうですわ。少し前にク〇ネコヤ〇トの広告でこんなのがあったらしいですわ」

「しかし、注意書きがある」


 ララの指摘に頷くシュシュ。

 彼女はその注意書きを読み始めた。


「読みますよ。『※男子トイレであるある』ですって。ララ様」

「男子トイレ……どういう意図があるのだろうか?」

「入ったことがないので意味が分かりません」


 そこへ入って来たのは軍医のリオネ。


「あっ。リオネさんならわかるかな?」

「これの意味が分からんのだ」


 カードを受け取るリオネ。

 彼女は即座に吹き出した。


「これ何? ぷっ」

「何がおかしいんですか?」


 ララの質問に笑いながら答えるリオネ。


「だって『一歩前へ』なんだもの。お掃除する人の切実なる願いがこもった一言ね」

「切実なる願い?」

「そうよ。ララさん。男子トイレって意外と汚いの。小便器ってこんな形でしょ」


 リオネがメモ紙にその形状を記載する。ララとシュシュはそれを見てしきりに頷いている。


「(・_・D フムフム」

「そこで用を足すわけだけど、放水する軌道の問題なのよ」

「軌道?」

「そう。軌道。ぶっちゃけて言うと、溜まってる時は勢いよくでるから少し距離があっても十分便器に届くわ。でもね。終盤勢いがなくなった時は真下に垂れるの。それが便器を外して床を汚しちゃうんだね」


 リオネの説明に目を見張るシュシュ。

 そして恥ずかしげに質問する。


「それは……の大きい人と小さい人で差があるんですか?」

「平時は下を向いて垂れ下がっているから関係ないわよ。シュシュ姫」

「あ。それで床が汚れてしまうと、次の人は後方からの精密射撃を要求される!」

「そうね、ララさん。回数を重ねるごとに後ろにズレて行き、終いにはこれは無理じゃないの? って距離からの遠距離射撃を試みなければいけないの」

「だから『一歩前へ』なのか」

「男はつらいよですわ」


 しきりに頷いているララとシュシュだった。しかし、その様子を見てリオネは苦笑していた。


「二人共何感心してるの? これは公共のマナー的な話のようで、実は処女二人におち〇ち〇関係の話題を語らせる策略なの。犯人はあいつね」

「また馬鹿作者か!」

「許しませんわ。許しませんわ!」


 処女二人は顔を赤く染め怒り狂っていた……。

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