解答 2 紅 くれない


「もうすぐ模試だから、土日もしっかり計画を立てて、勉強するように!」


 僕は田村先生をじっくりと観察してみた。結構、白髪があり、鼻毛が飛び出ており、鼻頭のブツブツも見えた。

 僕は無意識のうちに椅子を浅めに座り、背筋がピンと伸びていた。男子たるもの、猫背ではなく、胸を張って生きるべきである。


「己を研磨し、より高みに至りたい」――そう思う昨今である。


 40人の視線(八十の瞳)が、背中に突き刺さっているような気がした。

 

地獄の業火の中で――


「紅に染まったこの僕を、慰める奴はもういない」


 ――僕は背中で歌っていた。




つづく






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