解答 1 41名の移動
教室の時計の針は、3時50分を指していた。田村先生は教卓の上のクジ引きの箱を、両手で厳かに押さえた。
「これより、くじ引きにより、公正かつ厳粛なる席替えを行う! この箱の中に、1から41までの数字を書かれた紙が、41枚入っている! 自らの意思で、一人、1枚の紙を引け!」
静寂と喧騒が混濁するなかで、また一人また一人と、教壇に上がり、クジを引き自分の席に戻っていった。
41名の生徒が、41枚の紙、41の運命を引き終えた――。
「ようし! では開けていいぞ!」田村先生は言った。生徒たちは一斉に、クジ引きの紙を開けて見た。
「オオオォーーーッ!」
教室内に喝采と、歓声と落胆、奇声と獣の雄叫びが響いた。
「よーし! 席替えだ! 移動しろ!」
椅子と机の脚が地面と擦れて、ガタガタ、ギィーッ、と鳴いていた。それは生徒たちの、歓喜と慟哭に聞こえた。
つづく
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