第53話
「義一くん」
「何ですか?鈴奈」
「本来なら、ひとりひとりと挨拶したいところだけど、率直に言うね」
「まさか、7人の中から誰か選べとか・・・」
「そんなわけないでしょ」
怒られる。
ですよね・・・
「実は義一くんは、私たちの実の弟なの。血のつながった」
「本当ですか?」
驚く。
いいろな意味で・・・
「うん。腹違いのね。もちろん私たち7人も腹違いの姉妹」
あのクソおやじ。
でも、どうして姉なら呼び捨てにさせるんだ?
なんて、卑劣な真似を・・・
「でね、私たちが君に教えたかったのは、『君はひとりじゃないよ』と、いうこと」
「ひとりじゃない?」
「うん。ここへ来る前の君は、自分の殻に閉じこもっていたでしょ?」
「否定はしません」
「『周りは全て敵』みたいな」
確かに・・・
「でも、私たちと一緒に生活してから、君は変わった」
「えっ?」
「とても、明るくなったよ」
どうも・・・
「姉として、弟である君を助けたあげたかったんだ。やはり家族だしね」
「家族愛ですか?」
「それだけではないけどね」
それだけではない?
「私たちも、元々は君と同じで、卑屈なタイプだったの。でも、あそこにいたことで、個性が引き出されたわ」
他の6人の。先生方は相槌を打つだけ。
何か変だ?
「他の住民たちはいないわけではないの。君と顔を会わせないようにしてもらった」
「なぜ?」
「もし出会えば、元の木阿弥になる。だから、細かくカリキュラムを組んだ」
なるほど・・・
って、納得できるか!
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