第48話
「先生」
「どうしたの?」
「この主人公、気の毒ですね」
「どうして?」
長年の疑問をぶつける」
「強盗はしましたが、人は殺めていないんでしょ?」
「多分」
「多分って・・・」
「芥川龍之介に訊いて」
「呼んできてください」
静まる。
続けよう。
「強盗だけで地獄なら、殺人したらどうなるのでしょうか?」
「六道輪廻って知ってる?」
「名前だけは?」
なずな先生は続ける。
「さっき、君が思った通りですよ」
「というと?」
「彼が落ちた地獄は、まだ上のほうなので、多少のお情けはあるのです」
「もし、ガンダタに腕力がなかったら?」
「死人ですから、融通がききます」
何でもありだな・・・
でも、なんで僕が思ったことがわかるんだ?
なずな先生に限らないが・・・
エスパーか?
「でも、なずな先生」
「何?」
「お釈迦さまもケチですね」
「どうして?」
「蜘蛛を助けたことで、ガンタタを助けるのなら、他の方はもっといいことしてるかと」
「うん」
「なら、全員助けてあげればいいのに・・・」
他の人を助けなかったのは、お釈迦様にとっては、ガンダタ以上の悪なのか?
それとも、見ていなかったのか?
いいことしても、必ず見ていてくれるとは限らないんだな。
悪いことは全部見るが・・・
悪事千里を走るではないが、悪いことの方が、印象に残るのか・・・
「ぼやきは、終わりました?よっちゃん」
「はい」
「なら、始めましょう」
ちなみに、お釈迦様が先生で、他が僕だった・・・
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