第37話

僕は猫舌だ。

あまり熱すぎると食べられない。

少し冷めて方が、僕には美味。


お姉さんたちは、それを知っていたのか?

しばらくして、火を止めてくれた。


ぐつぐつとたっていた湯気が消えて行く。


「お姉さんは、冷めてもいいんですか?」

疑問を投げかけた。


「大丈夫やで。うちらは合わせるさかい。気にせんでええで」

瀬梨お姉ちゃんが言う。


用意した食材は、殆どお姉さんの胃の中へと消えた。


「大丈夫やで、よっちゃんの分は、残してあるさかい」

瀬梨お姉ちゃんに言われて鍋を見ると、まだたくさんあった。


でも、用意した食材の1割ほど。

それでも、バランスよく揃っている。


肉、野菜、豆腐、きのこ・・・

そして、ウィンナー。


僕の家では、鍋にウィンナーをいれる。

これが、美味しい。


「よっちゃんのご両親から、訊いてたんやで」

瀬梨お姉ちゃんが続ける。


そういえば、他の先生はいつの間にか、消えた。


「今、なぜうちだけ残ったのか、不思議に思ったやろ?」

「ええ、正直」


「それはな・・・うちは、鍋奉行なんや」

瀬理お姉ちゃんは、ふんぞり返る。


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