第34話

「よっちゃん、何食べたい?」

鈴代先生が、訊いてくる。


「いったら何でも作ってくれるの?」

「何言ってるの?作るのは君よ」

「一緒に、作ってくれるのでは?」

「甘えないの」


いえ、そういう問題では・・・


「冗談よ。一緒に作ってあげる」

「ありがとうございます」

「で、何食べたい?」

「いろいろ食べたい」

「じゃあ、お鍋ね」


最初から、決まっていたらしい。


すでにお野菜やら、お肉やら、食材が用意してある。

もしかして、他の先生たちは、買いだしに行ってるのか?


「お鍋は、みんなで食べられるからね。親睦を深めるには最適」

「昨日も、食べたよな・・・」

「予知夢だと思うよ」


僕は、老化現象したのか?

記憶があいまいだ・・・


まっ、いいや。


「では、よっちゃん。まずは、お野菜から」

「そうなんですか?」

「お鍋、作った事ないの?」

「ありません」


鈴代先生は、ため息をつく。


「包丁を握ったことは?」

「あります」

「いつ?」

「今」


沈黙が続く。


「じゃあ、野菜の切り方から、教えるね」


鍋なんだから、そこは適当でいいと思うが・・・


「あっ、よっちゃん」

「何ですか?鈴代先生」

「もう、ややこしいから、お姉ちゃんで統一していいよ」

「でも、けじめは・・・」

「先生の、言う事を聞きなさい」


真面目なのか、不真面目なのか、わからない・・・


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