第10話

「ところで、僕はどこから通うの?」

「えっ?」

鈴奈お姉ちゃんは、不思議そうな顔をしている。


「よっちゃん、どこへって・・・ここに決まってるじゃない」

「ここって・・・寮も兼ねてるの?他の人は?」

「いないよ。君だけ。」

「生徒は、僕一人?」

「うん」


学校なのか?それ・・・


「今、秘密にしてもいずればれるから、今のうちに話しておくね」

「うん」

「私たち7人は、ここの卒業生なの」

「うん」

「7人とも、今の君と近い事情で、ここに入学して・・・」

「ええ」

「それで、恩返しをしたくて、教員免許をとって、ここへ就職したの」

何かの名作小説にあったな・・・

そういうの・・・


でも、その時は7人同時だったのか?

いや、追及はしないでおこう。


「そして、当時の先生だった、父と母の養子になったんだ。」

笑顔で語っている。


「あっ、実の両親は、まだ生きているから・・・つまり里子ね」


複雑なんだな・・・


「じゃあ、詳しい授業システムは、明日ね」

「はい。」


そうだ。

ご飯作らなきゃ。


それくらいは、何とかしないと・・・


「料理は今日はいいよ。鈴代が作るから」

「鈴代お姉ちゃんが?」

「うん。明日からは、びしびししこむからね」


ひとつだけ訊いておこう。


「皆さん、本名なんですか?」

「ファミリーネームはね。でも、ファーストネームは源氏名」


風俗じゃないんだから・・・

て、やばくない?

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