彼女と日常の変化
――仕事が終わったあと、2人で帰り道に夜ご飯を食べに行った。ハンバーグが人気のお店で仲良く話しながら楽しい一時を過ごした。小泉先輩は『私の奢り何だからどんどん食べなよ!』と言って、ハンバーグとライスのおかわりをさせてくれた。まるでその慈愛級は例えたら『女神様』だ。小泉先輩の優しさがマジ、尊かった。
女の人に優しくしてもらった事なんて、母親や叔母意外になかった俺にとっては、目の前に居る小泉先輩が女神様に見えて思わずみとれてしまった。
「――やっぱ凄いなぁ、小泉先輩は……」
「ん? 何が?」
「いや、何でもないです……!」
「やだな~どうしたの日野くん。急に黙っちゃて?」
「いや…その。自分には兄弟が一人もいないからもし俺に姉がいたらきっとこんな感じ何だろうなぁって、ちょっと思いました」
「あら、日野君。一人っ子なんだ?」
「はい。俺は兄弟が居ないから地味に憧れてます」
「そうか~私は下に妹がいるけど。姉妹でも良い時と悪い時とかあるよ。まあ、その時はちょっと大変だけどね。妹も今中学生だから難しい時期なのよ。でも、普段は仲は良いわよ。喧嘩しなければね」
「小泉先輩には妹さんが居るんですか?」
「ええ、そうよ。日野君にとっては、私はお姉ちゃんって所かしら?」
「ブハッ!!」
その瞬間、彼女の言葉に反応すると飲みかけの水を口から吹き出して動揺した。
「ちょっとやだ、大丈夫…!?」
「いや、すみません! 大丈夫です!」
「良いのよ正直に話しても。日野君が良ければ、お姉ちゃんだと思ってくれてもね。私には弟が居ないからきっと日野君みたいな弟が居たら楽しそう」
「えっ…そ、そうですか?」
「うん!」
彼女は目の前でニコっと笑うと持っているハンカチで口のまわりを拭いてくれた。その優しく笑った顔に思わず見とれると目を反らした。お店で食事を済ますと『じゃあ、帰ろうか』と言ってきた。不意にお店の壁に飾ってある時計をみると21時になっていた。
ヤバイ! 黒薔薇姫に殺される!
時計の針を確認すると慌てて帰ろうとした。こんな時間まで帰って来なかったら、彼女が心配するなんてのはマズ無い。むしろ『私の食事を作らずにこんな時間まで何処かにほつき歩いてる何て良い度胸ね、陽介!』と雷が落ちてくるのは言うまでもない。急いで鞄を抱えると先にお店の外に走って出て行った。俺が慌ててお店から飛び出すと、そのあとを彼女が追いかけときた。
「ちょっとちょっと、日野君! 何も慌ててお店から出なくてもいいのに! 会計してる間に居ないから、どこに消えたのか焦ったじゃない!」
「ああ、すみません小泉先輩…! ちょっと用事があるので先に帰ります…! ハンバーグごちそうさまでした! 今度お給料日に一緒に食事に行きましょう! その時は俺が奢りますからご安心を! それじゃお先に失礼します!」
早口言葉で話すと機敏な動きではや歩きした。その瞬間、彼女がグイッと後ろから服を掴んできた。
「日野君、用事って…!? 彼女なの…――?」
「えっ!?」
いきなり小泉先輩から「彼女なの?」と尋ねられると、ピタリと動きを止めて後ろを振り返った。
「まさか~小泉先輩、冗談はよして下さいよ。いや、絶対違いますよ、彼女だなんて!」
「ほ、本当に……?」
「ええ、絶対違います!」
「そっ、そうかぁ……。ごめんね、いきなり変な事聞いちゃって! おやすみなさい陽介君!」
「あっ、小泉先輩……!?」
彼女は笑って手を振ると足早に帰っ行った。何だかその表情が一瞬だけ切なく見えた。俺は一人、置き去りにされると胸の奥が何だかギュッと切なく感じた。
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