第2話不思議なショウジョ

匠先生

始業式の次の日。放課後だがまだ学校で作業しなければならない。今日は特になにもなかったが、昨日気になった事があった。麗華だ。校長から麗華の事は気を付けるように言われていた。まさに犯したが初日だ。麗華は三年生の頃、担任の先生に酷いことをされ、その先生は捕まった。さっき聞いたばかりだが左腕は入学した時から包帯で縛られていたらしい。さらに麗華の過去は探しても探しても見つからなかったのだ。生まれた日も病院も、家柄も。そんな麗華に、俺は左腕は三年生の頃の担任にやられたのでは無いかと思い聞いてしまった。それがいけなかった。ほどけた包帯の下はまるで誰かにやられた様な傷だった。強く引っ張ったのに関わらずほどけなかった手の包帯はよっぽどきつく縛っていたのだろう。麗華は明らかに動揺していた。腕は傷隠しの目的だろうが手はきっと違う。やっぱり何かあったはずだ。そのあと謝ったら麗華も謝っていた。手で振り払ったくらいで血は出ない。それなのに血が出たのは魔法を使ってしまったからだという。魔法の使えない俺にはよくわかないのだが、魔法が上手く制御できないらしい。触れないでと言ったのもその為だろう。屋上でそんな事があったも知らずに美紅は麗華と俺を遊びに誘いに来た。しつこい美紅の誘いに二日目でしぶしぶ麗華は誘いを受けた。控えめだった麗華だが、美紅がニコッと笑うと少し微笑んだ。安心した様に。麗華は魔法を使ってしまった事を結構気にしている様だから、次は気をつけないと。なんて犯してからは遅いがな、、美紅は何人か友達がいる様だが麗華が一番仲良しみたいだ。それに対し麗華が美紅以外に話しているところを見た事がなかった。話しかけられても拒絶するからだ。、、、いけない、作業に集中しないと、、5年1組の一人一人の性格を観察していた。それをパソコンに打っている。前に、特に麗華は監視しなさい、と言われた。まぁ、過去が真っさらだからな。とは言え『監視』なんて、、ん?そいういえばさっき廊下で麗華が響に首元を引っ張られていた様な、、気のせいか?そうだな、響も少し機嫌が悪い様に見える。響は物心ついた頃からいなかった母親。ずっとお父さんと一緒にいたらしいが、四年前殺人鬼に殺されたらしい。ただの殺人鬼じゃないらしい。何よりその殺したヤツは響と同い年。そう、まだ6歳ぐらいの女の子なのだ。幼くして無情に人を殺していく。そして『紅い紅い瞳の闇が恐ろしかった』そう言っていたな。最近の子供達は暗い過去があって近づきにくかったのだ。響も含めて。だから俺は、誰も死なない世界が良かった。

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