壊人形
@miria223
第1話友達
麗華
桜が舞っていた。今日は如月小学校の始業式だ。この世界では三年生入学が普通で、一ニ年が少ないけどどこかの世界では一年生からなんだよね、、そんな事、美紅が言ってたな。別の世界があるともかぎらないのに。美紅の言うその世界は、魔法もなくて、化け物もなくて、、とてもいい世界だ。ただ変わった点といえば苗字をなのるところだ。この世界では親友でも知らない場合がある。特に私は、、苗字なんて誰も知らない。もちろん、私自身もね。そんな事を考えていたら「早く教室に行こうよ!」って美紅が言ってきた。「先生誰かな」「男の先生だと思うけど。」階段を上って5年1組の教室のドアを開けた。すると「おっはよー!!」大声で美紅が、、「なにしてんの、、」小声で言ったら笑みを返された。皆んな固まってるじゃない。その静けさもつかのま、どっと笑いが起きた。「時間だ。席に着け。」背後からの急な声にびっくりした。このクラスの先生だ。この学校はニ年ごとにクラスを変えるからこういうのには慣れない。皆んな席について静かになると先生が口を開いた。「俺は匠だ。今日からこのクラスを担当する。」匠って書いてしょうって読むのか。そのあと、少し話して自己紹介の時間になった。出席番号順だ。ちなみに、私の番号は苗字がわからないため下の名前から取っている。23番だった。美紅は22番。美紅の順番が回ってきた。どうせ変な事言うんだろなと思ったら「22番、美紅です。中休みとか暇なので、よろしくね!」以外とまとも。「23番麗華です。よろしくお願いします。」「ついでに付け足すと麗華は算数が出来るすごーい人だから頼っちゃってね!」結局変な事言うのね、、また一つ面倒な事が増えた。友達なんか作りたくない。また笑いが起きた。きっと美紅は人気者になるね。そんな自己紹介のあとは中休みだ。隣の席の美紅は私の腕を引っ張って先生の方へ行った。「なによ」「匠先生!」「なんだ」「鬼ごっこしましょ!」「いいけど」「やったー!」、、はぁ。「私はやらないからね。」「えーなんで強制参加!」『ガラッ』
無言で出て行った麗華を美紅は心配そうに見ていた。「、、麗華いつもああなのか?」「あんまり皆んなを混ぜた遊びとかしない人だから、、」
友達を作りたくなかった。三年生の頃は始業式の日に人が机に集まった。冷たくして、誰も、寄らせないようにした。いつしか話しかける人はいなくなり、一人になった。冷たい目で見られた。それでも他人に寄らせないようにして寄らないようにしてた。だけど、、美紅がいる今よりずっとつまらなかった。なんでだろう。一人でいたいのに。一人じゃなきゃいけないのに。三年生の冬に美紅は私のクラス、3年2組にやってきた。転入ではなくて、なんか大人の事情ってやつで。その時に美紅は私の方へやってきた。小声で「やめなよ、あの子と居るの」と聞こえた。そうだよ。来ないで、私といてもデメリットしかない。いい事なんてない。デメリットしかない。だから、それだからいつも一人を選んできたのに。なのに。しつこく、話しかけてきたから仕方なく遊びの誘いを受けた。ちゃんと、デメリットしかないって言ったのに。死ぬかもしれないって言ったら?そうも言った。それでも美紅は諦めようとしなかった。笑顔だった。その笑顔の理由わからなかった。問いても「だって嬉しいでしょ?」そう言うだけだった。私も、今となっては嬉しいのだろうか。しかしひとつ短所があった。人を呼び込む事だ。さっきみたいにね。自己紹介でも変な事言うし、鬼ごっこだって。やっぱり友達なんか作りたくなかった。「あ」突然、風が吹いて持っていた紙がとばされた。屋上にいるからだ。するとその紙を誰かがとった。振り返ると先生が立っていた。私が持っていた紙は多分、先生には読めない。昔大人に教えてもらった字で書いている。いくら語学学校如月小学校の教師といえど。「なんだ?これ」やっぱり。「、、、、ただのメモです。」手に返されたそのメモは紅いインクで滲んでいた。「もう要らないものですけど。」「捨てるのか?」「いえ。とっておきます。、、せっかく書いて貰ったものなので。」これは5つ上のお兄さんに書いてもらったものだった。「随分大事にしておくんだな。」「その人にはもう会わないので。」「、、その左腕はどうしたんだ?」「!」振り返った私に風が吹いて灰色の髪が舞った。指先まで巻いた包帯を先生は見ていた。普通は気にならないだろうに。美紅が言ったんだな。まったく。、、、どうしてそんなに人を信用してペラペラとー「何かされたのか?大人に。」「、、、、これは、、」不思議だった。だんだんと脈拍が上がっていく。「、、ミスして、、怪我しただけです。」「本当か?」酸素も上手に吸えなくなっていった。私はどうしてこんなに動揺してるの?「あっ!」先生が腕に触れた。手の方以外の、腕の包帯がほどける。「、、ハァ、ハァ」白く、傷だらけになった腕が見えた。「なにがあった。説明しろ。」右手を引っ張られた。「触らないで!!!」『バシッ』弾かれた先生の手から血が出る。私の能力だ。私のせいだ。驚いた先生を見て怖くなった。まともに息もできなくなる。「近づかないで!!」「麗華!」勢いで屋上を抜け出した。ダメだ。いけないんだ。魔法を使っちゃ。逆らっちゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます