第8話カルロ視点
メイソンが傷つけられた!
絶対に許さない!
クレアが聖女である事を明かし、負傷者全てを一瞬で癒した。
それでも許せない!
エミリーの糞王女は問答無用でぶち殺す!
クレアが聖女である事を明かしてからの動きは速かった。
王弟殿下が国王と王女の惰弱と悪行を糾弾し、兵を挙げられた。
それに呼応して、ガードナー辺境伯閣下が軍を動員された。
俺達が聖女クレアを旗印に、学園に在学中の士族を挙兵させた。
当然最初に王女を捕まえて人質にした。
敵になるか味方になるか分からないので、在学中の貴族子弟は人質にした。
貴族も馬鹿ではない。
クーデターの帰趨が、聖女を有する王弟殿下の勝利に終わる事は理解できた。
当然多くの貴族が我々に味方したが、人質は解放しなかった。
クレアが余計な血を流したくないと言ったからだ。
それを聖女らしいと考えるか、聖女らしくないと考えるかは、人それぞれだろう。
だがそのお陰で、負けると分かっている戦いに参加しなくて済んだ貴族は多い。
まあ、トップが王弟殿下だったのが大きいのは確かだ。
ガードナー辺境伯閣下や聖女がトップでは、子供を見殺しにしても王家に付いた貴族もいただろう。
俺達が護って来た士族家子弟に中にも、王家と俺達の間で板挟みになった者もいただろう。
だが有難い事に、今回は傀儡ではない、優秀な王族がいてくれた。
人格実績共に、王侯貴族に士族国民も認める王弟殿下がいてくれた。
だから短期間にクーデターが成功した。
介入する隣国がいなかったのも大きい。
魔獣の大繁殖と襲撃で、我が国以外は大損害を被っていて、とても我が国に介入できる状態ではなかったのだ。
だからこそ、それを防いでいた聖女クレアの声望は大きかった。
少し問題になったのは、王女と国王、悪徳貴族の処罰だった。
クレアは楽に殺してやってくれと言ったが、俺は見せしめにすべきと献策した。
楽に殺すなら、酒で酩酊状態にした上で窒息させるという方法だ。
見せしめにすると言うのは、民に石打で殺させて鬱憤晴らしさせる事だ。
結局王弟殿下は、石打刑で王女と国王を処刑する決断をされた。
大きな問題になったのは、クレアの処遇だった。
王弟殿下は正妃に迎えて王権を万全にしようと考えておられた。
だがクレアが頑強に拒んだのだ。
俺達従兄妹は先刻承知していたが、クレアはガードナー辺境伯閣下にぞっこんだ。
聖女である事を隠し、家を保とうしていた時は我慢していたが、今は別だ。
普段隠していた気の強さが出た。
何と言っても俺やレイラの妹なのだ。
大人しいはずがないのだ。
クレアは頑強にガードナー辺境伯閣下の正妻の座を要求した。
普通なら通らないのだが、相手がガードナー辺境伯閣下だから通った。
王弟殿下とガードナー辺境伯閣下は相思相愛だ。
君臣としての信頼関係の巌のように強固だ。
だから認められた。
人の想いに永遠はないが、その時はその時の事だ。
今は上手く行った事を喜ぼう。
婚約破棄された男爵令嬢は隠れ聖女だった。 克全 @dokatu
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